抄録
周生期および授乳期における薬物投与の母獣(F0)および産児(F1)におよぼす影響,とくに中枢神経系,生殖機能の試験についてSD-JCL系ラットを用いて検討した.F0においては200,100mg/kg群に,投与後一過性の流涎がみられ,200mg/kg群の一部に自発運動の低下,呼吸抑制,正向反射消失,間代性痙攣がみられたが,妊娠および哺育期間中の体重変化および摂飼量に影響はみられず,分娩,哺乳,離乳後の剖検にも影響はみられなかった.F1における新生児数および出生率に影響はなかった.新生児および哺育児の体重が軽度に劣るものがあったが,生後発達としての形態分化の状態および時期において影響はみられず,性成熟状態,生殖機能においても影響はなかった.F1における平衡感覚,運動などの神経機能,さらにはopen-fieldにおける社会性,競合性などの精神機能については何れも影響はみられなかった.