日本薬理学雑誌
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74 巻 , 1 号
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  • 田村 俊吉
    1978 年 74 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    哺乳期にヒ素剤を与えるとラットの体重,脳重量,脳組成にどのような影響を与えるか実験した.実験はclosed colony(田村,1950)のWistar系albino ratの仔ラット499匹を4群に分け生後7日から21日まで対照群にはarabia gum懸濁液を,ヒ素剤投与群にはAs2O3 1.5,15mg/kgおよびヒ素混合物As2O315mg/kgをそれぞれ毎日一定時投与し,生後3週ならびに15週で実験測定した.死亡率は対照群,ヒ素剤少量投与群ではいずれも10%内外でヒ素による影響はなかったが,ヒ素剤大量投与群ではいずれも50%近かった.ヒ素剤を少量,または大量投与してもラットの体重,脳重量,脳組成はOrienta1および粉乳両飼料群,また雌雄いずれもヒ素剤による影響はなかった.本実験の結果,ヒ素剤の少量または大量投与はラットの体重,脳重量,脳組成に影響をおよぼさないことがわかった.
  • 柴田 学, 武田 英子, 高橋 宏
    1978 年 74 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    モルモット背側皮内にformalin,histamine,serotonin,bradykinin,kallikreiaを注入して起炎し,一方静脈内にpontamine blue色素を与えて,炎症局所皮内に漏出した色素を,2波長Chromatoscamer CS-900を用いて定量的に計測する方法を考案した,本法によって,炎症の最も初期過程である末梢血管透過性充進像を定量的に把握することが出来る.また従来の皮内色素の化学的抽出,定量法や,色素斑点の面積計算法と比較し,検出精度において遜色なく,操作簡易,多数検体処理に適した方法として,抗炎症薬やchemical mediatorの研究に有用な方法と考えられる.
  • 本間 健資
    1978 年 74 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    マウスにmethamphetamine(MA)を40mg/kg i.p.投与して群居させると,1匹ずつ,隔離した時に比べて死亡率が大幅に上昇した.この死亡率は,同居する他のマウスがMAを投与されているか否かにより変化しなかった.マウスを1匹ずつ透明ケージに入れて並べても完全隔離マウスに比べて死亡率は高かった.群居マウスを収容するケ一ジの面積を大きくしても,死亡率はほとんど下がらなかった.Neurolepticsはいずれも少量でMA群居毒性に拮抗したが,clozapineは作用が弱く,sulpirideは無効であった.αおよびβ遮断薬のうちでphentolamineとpropranololが高い投与量で群居毒性に拮抗した.Reserpineとtetrabenazineの前処置は明らかに群居毒性に拮抗した.Tyrosine hydroxylase阻害薬であるH44/68は強力な拮抗作用を示したが,dopamine-β-hydroxylase阻害薬であるDDC,U-14,624,FLA63の拮抗作用はやや弱かった,MAを5mg/kg i.p.投与して群居させたマウスの死亡率は約3%であった.Reserpineの同時投与,clonidine,L-DOPA,MAO阻害薬であるtranylcypromine,atropine sulfate,methysergide,cyproheptadine,benzodiazepine系抗不安薬などは,MA5mg/kg i.p.投与時の群居毒性を増強した.Apomorphincは増強しなかった.MAを120mg/kg i.p.投与すると隔離マウスの死亡率は約90%であった.これに対しpropranololがわずかに抑制作用を示した他は,phentolaminc,chlorpromazine,haloperidolは大量投与でも全く抑制しなかった.以上の結果から,マウスはMAを投与された状態では他のマウスの存在を認識することが死亡率の上昇をもたらし,この現象には,catecholamine特にnorepinephrineの役割りが重要であるように思われる.Neurolepticsは,主に中枢におけるα遮断作用により群居毒性に拮抗する事が示唆された.
  • 酒井 賢, 水沢 英甫, 坂梨 又郎, 坂本 公宏, 竹尾 聰, 岳中 典男
    1978 年 74 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Proxyphylline,Melilotus extractおよびrutinを配伍するTheo-Esberivenおよびその配合成分の冠状循環動態および心筋代謝におよぼす作用をイヌ摘出および生体位心臓標本を用いて検討し,次の結果を得た.1)摘出心臓標本において,Theo-Esbcriven(0.1ml)は冠状動脈血流量(CBF)を著明に増加し,この時心拍数(HR)および心収縮力(MCF)の増大を伴ったが,心筋酸素消費量(QO2)および心筋酸化還元電位(ΔEh)には有意の変化を与えなかった.Proxyphylline(12mg)によるCBF増加作用は,Theo-Esberivenの約60%であり,このときHR,MCFおよびQO2は増大し,ΔEhは低下した.Esbcriven(0.1ml)はCBFを増加させたが,代謝系には抑制的に作用した.2)生体位心臓標本において,Theo-Esbcriven(0.0001~0.01ml/kg)およびproxyphylline(0.01~1.2mg/kg)の冠状動脈内投与は左冠状動脈回旋枝流量(LCCF)を用量に応じて増加させ,Esberivenは0.01ml/kgでのみLCCFを増加させた.Theo-Esbcriven(0.1ml/kg)の静脈内投与は灌流圧を下降し,同時にLCCFを増加させた.3)Theo-Esberiven(0.1m1/kg)およびproxyphylline(12mg/kg)の静脈内投与は血圧を著明に下降きせたが,脈圧には影響しなかった.また上行大動脈血流量および下大静脈血流量への影響はわずかであった.Esberiven(0.1ml/kg i.v.)は血圧および脈圧を著明に減少きせ,さらにHRおよびdP/dtmaxを減少させた.Rutin(2.5mg/kg i.v.)の作用は降圧と下大静脈血流量増大作用に限定され,Melilotus extract(5mg/kg i.v.)はこれらに影響を与えなかった.以上の点から,Theo-Esberivenは心筋酸素消費量を有意に増大させることなく,陽性変時変力作用を伴った著明な冠血流量増加作用を示すことが明白となり,虚血性心疾患への適用の有効性が裏付けられた.またTheo-Esberivcnのこれらの作用はEsberivenの配伍によって,proxyphyllineの冠血流量増加作用が増強され,心筋代謝元進作用が緩和された結果と思われる.
  • 山田 重男, 馬屋原 敬民, 丸山 郁夫, 芝軒 信次, 徳吉 公司, 磯 明美
    1978 年 74 巻 1 号 p. 49-60
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    in vivoにおける消化酵素薬Excelaseの蛋白質および脂肪の吸収に対する作用を7週間にわたり観察した.ビーグル犬を1群5頭とし小腸上部2/3切除術および小腸端吻合兼膵尾4/5切除術を行ない消化不良状態とし,飼料には一定量の酸化クロム(Cr2O3)を標識し糞便より蛋白質および脂肪量をそれぞれsemimicro Kjeldahl法およびSoxhlet法により測定した.小腸切除術および小腸端吻合兼膵尾切除犬において7週にわたり著明な蛋白,脂肪吸収の障害が認められ,特に小腸端吻合兼膵尾群において著明であった,しかし消化酵素薬Excelase投与群では約2週後頃より蛋白質,脂肪の吸収の増加および体重の増加も認められた,in vitroでの消化管模型実験において澱粉,celluloseおよび蛋白のExcelaseによる分解作用を胃内容pH(3.0~5.0)および腸内容pH(7.5)において測定した.
  • 高橋 澄子, 中條 延行
    1978 年 74 巻 1 号 p. 61-75
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    モルモット盲腸紐の10または20mM caHdneによる等尺収縮は二つのphasic収縮(IとII)が相次いで生じ,2峰性曲線を画いたのち弱い一定の残留張力が持続した.二つの山の張力半減期はIIがIの数倍長かった.まれに1峰性曲線を示すことがあったが張力半減期は1とIIに等しい2成分を示した.ProcaineO.1~0.5mM,DNP0.03~0.1mM,Mn O.5~1.0mMによりIは部分的に抑制されIIは消失することが張力半減期の検討により確認された.外液Naの減少に伴ないIは平行して減弱しIIはNa約75mMまでは増強して行き以後はNa濃度と共に減弱して行った.外液Caの減少に伴ないI,II共に減弱した.Ca=0でI,II共消失し正常Caにもどせば回復した.Caffeine投与と洗浄をくりかえして収縮を反腹きせたとき洗浄時間と共に次にくる収縮がIとII共に大となり10分間洗浄で初回と同じ収縮に達した.ただし収縮の反復が4回をこえると回復が不完全となった.この回復性と上記のCa依存性にはIとIIの問に著差がなかった.残留張力は40mM K-tonic収縮と同様のCa依存性を示した.正常,10mM caffeine,40mM K,10mM caffeine+40mM K 各条件下で45Ca uptakeとCa含量を測定した.Kにより45Ca uptakeが著明に増しCa含量は著変がなかった.CaffeineがKと共存すると45Ca uptakeの増加が完全に抑制されCa含量が著明に増し,Caのexchangeabilityが小となった.以上の結果から,caffeine収縮は細胞の異なった部位から遊離するCaによる二つのphasic収縮があり,つづいてCa uptakeによる残留張力がみられる.Phasic収縮のためのCaは細胞Caとしてはもっともexchangeableなfactionである.Caffeineは高濃度KによるCa influx増加を抑制してK-tonic収縮を弛緩させると共に細胞質のfree Caをimmobilizeすると推定される.
  • 小野 彪, 和田 文雄
    1978 年 74 巻 1 号 p. 77-89
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Cytochrome P-450の基質差スペクトルに関する研究は数多いがその本質は未だ不明である.著者らはヘムたんぱく質としてhemoglobinおよびcytochrome cを用いて,cytochrome P-450の基質であるaniline(II型),aminopyrine(I型)およびcytochrome P-450の生理的基質とされているsteroid hormoneの添加による薬物差スペクトルの測定を行ない,cytochrome P-450の薬物差スペクトルと比較検討した.(1)anilineおよびaminopyrineによるmethemoglobinの薬物差スペクトルは403nmにtrough,420nmにpeakを示してII型に類似し,酸化型cytochrome cのaniline差スペクトルは417nmにtrough,404nmにpeakを示してI型に類似した.(2)Methelnoglobin,oxyhemoglobinおよびcarboxyhemoglbinのhydrocortisone差スペクトルおよびprednisolone差スペクトルは特徴的な形を示し,deoxyhemoglobinの4薬物による差スペクトルも特徴的な形(430nにtrough)を示した(3)その他の薬物差スペクトルは薬物とヘムたんぱく質の間の酸化還元反応によって誘導されるものと考えられる.(4)Anilineおよびaminopyrineに対する各種hemoglobinの親和性は還元型の方が酸化型よりも強く,oxyhemoglobinが最も強かった.(5)Hemoglobinおよびcytochrome cの各還元型はanilineよりもaminopyrineに対してより強い親和性を示した.以上aniline,aminopyrine,hydrocortisone,prednisoloneはhemoglobinおよびcytochrome cと酸化還元を含めた相互作用があり,疎水控のヘムたんぱく質であるcytochrome P-450のみならず,親水性のヘムたんぱく質であるhemoglobinおよびcytochrome cにおいても薬物差スペクトルが認められた.溶血液の各薬物差スペクトルは結晶hemoglobinより調製したoxyhemoglobinの場合と同様の傾向を示したが,prednisoloneを除く他の3薬物に対する親和性は溶血液の方が小さ,約1/100であった.
  • 鈴木 健一, 六波羅 昌子, 和田 文雄
    1978 年 74 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    肝microsomeおよび部分精製された数種のcytochrome P-450標品を用い,microsomcを用いた場合の薬物代謝活性の多様性を示す実験結果(Lineweaver-Burk plotsおよび活性のpHによる変化)が精製標品ではどのように説明されるかを検討した.aniline hydroxylaseおよびaminopyrine demcthylase活牲のLineweaver-Burk plotsは,microsomeを用いた場合も精製標品を用いた場合もhyperbolic curvcになった.cytochrme P-450系が関与する薬物代謝反応が複雑なのでMichaelisの式が成立しないか,あるいは分離した標品がそれぞれまだ多様性をもったもので,分離法によってはさらにいくつかに分けられるなどが考えられる.動物をphenobarbitalあるいはmethylcholanthreneで処理すると,aniline hydroxylase活性のpH curvcは正常動物のそれと比較して変化する.phenobarbital処理では至適pHはアルカリ側へ移動し,その反応系にcortisolを添加して阻害すると,アルカリ側で活性の減少が大きく,pH curveは正常動物のそれに似てきた,精製標品による活性のpH curveは標品によって異なり,microsomeを用いた場合の変化が酵素の多様性で説明されることを示した.
  • 柳浦 才三, 鈴木 勉
    1978 年 74 巻 1 号 p. 99-109
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Glucocorticoidの合成阻害薬であるmetyraponeとmorphineを併用処置することにより,morphineの禁断症状をmetyraponeが抑制することを確認の上,このmetyraponeの作用が副腎由来のものかどうか,およびmorphineの鎮痛作用に対するmetyraponeの影響の有無について検討した.metyrapone自体の身体依存能については,直接依存試験と交叉依存試験を行ったが,本研究で用いた用量では,身体依存能が認められなかった.morphinc依存ラットの獲得にはmorphine混入飼料(0.5vs. 1mg/g food)を使用した.morphinc混入飼料とmetyraponc(60mg/kg/day,i.p.)を併用処置後の休薬あるいは麻薬拮抗薬(levallor-phan,2mg/kg,s.c.)適用後に観察される体重減少,摂飼量の減少および下痢などの禁断症状は,morphine混入飼料単独処置に比較し,著明に抑制された.副腎摘出ラットに同様の処置を行った場合でも,これらの禁断症状は,morphine単独処置に比較し,morphineとmety-rapone併用処置で著明に抑制された.また,これらの群で完全休薬を行い,体重が休薬前のレベルまで回復する日数を比較しても,morphine単独処置が約9日間,morphineとmetyrapone併用処置が約4日間とmetyraponeの併用により回復日数も半減した.さらに副腎摘出ラットでも,無処置ラットでもmorphinc処置後の休薬による禁断症状は同程度であった.したがって,morphine禁断症状に対するmetyraponeの抑制作用は,副腎由来のものではないことが示唆でき,morphinc身体依存の発展に下垂体一副腎系が関与しないであろうというWeiの結論を支持する.一方,Hot plate法を用いた鎮痛実験の結果metyraponeはmorphineの鎮痛作用発現を遅延させ,その作用強度はわずかに増強される.故に,metyraponeがmorphine禁断症状を有意に抑制すると同時にmorphineの鎮痛作用をわずかに増強させることを確認した.
  • 府川 和永, 沢辺 隆司, 河野 修, 畑中 佳一, 田内 清憲, 川西 廣明, 斉藤 章二
    1978 年 74 巻 1 号 p. 111-128
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    周生期および授乳期における薬物投与の母獣(F0)および産児(F1)におよぼす影響,とくに中枢神経系,生殖機能の試験についてSD-JCL系ラットを用いて検討した.F0においては200,100mg/kg群に,投与後一過性の流涎がみられ,200mg/kg群の一部に自発運動の低下,呼吸抑制,正向反射消失,間代性痙攣がみられたが,妊娠および哺育期間中の体重変化および摂飼量に影響はみられず,分娩,哺乳,離乳後の剖検にも影響はみられなかった.F1における新生児数および出生率に影響はなかった.新生児および哺育児の体重が軽度に劣るものがあったが,生後発達としての形態分化の状態および時期において影響はみられず,性成熟状態,生殖機能においても影響はなかった.F1における平衡感覚,運動などの神経機能,さらにはopen-fieldにおける社会性,競合性などの精神機能については何れも影響はみられなかった.
  • 府川 和永, 坂東 和良, 伊藤 義彦, 沢辺 隆司, 斉藤 章二
    1978 年 74 巻 1 号 p. 129-137
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    前報における周生期および哺乳期薬物投与試験において,pentazocine HClをラットに投与しその産児(F1)の生殖機能に影響のないことを報告した.今回さらにこのことを確認するために,中枢における高次の弁別機能の欠損,未発達検出に,F1の中枢神経組織について細胞構築学的検討を行なった.脳の連続切片を作製し,Nissl法およびKlüver-Barrera法による染色を施し,光顕的に脳全体を観察したが,cellbody,myeline sheath,neuroglia,脈管に染色性および形態異常などの所見はみられなかった.さらに電顕的に前頭葉を観察したが,cell body,dendrite,axon,myeline sheath,synaptic complexとneurogliaおよび脈管に,欠損,未発達,形態異常などの所見はみられなかった.これらのことから,生活機能観察で異常が検出されなかった前報の結果を組織学的にも支持する成績を得た,また投与したpentazocine HClはの脳組織に影響を与えないと結論した.
  • 小澤 光, 渡辺 寛, 陳 清松
    1978 年 74 巻 1 号 p. 139-144
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    β-遮断薬carteol,pindolol,propranololの降圧作用を,無麻酔の正常ラットならびに筒血圧自然発症ラット(SHR)に急性投与を行い比較検討した.また降圧作用とβ-遮断作用との関連性について検討を加えた.血圧の測定は,腹大動脈にカニューレを植え込んだラットを作成し,無麻酔で下で直接的に測定した.carteolol,pindololはラットの血圧を有意に下げたがpropranololでは降圧作用は確認できなかった.降圧作用は,正常血圧ラット,SHRでも共通に認められ,最大降下作用が発現するまで数時間を必要とする緩徐で持続的なものであった.isoproterenolの静注により生じる心拍数増加作用,血圧降下作用は,これらのβ-遮断薬により抑制された.その抑制作用は,投与後一時間目が最も強くその後弱くなるが,carteo1olのβ-遮断作用は最も長く持続した.この実験結果より,β-遮断薬の無麻酔ラットにおける急性投与で降圧作用が認められたが,この降圧作用は,薬物が本来有している心機能におけるβ-遮断作用とは直接的には平行関係を持っていないものと考えられる.
  • 荘司 行伸, 河島 勝良, 中村 秀雄, 清水 当尚
    1978 年 74 巻 1 号 p. 145-154
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ヒマシ油およびprostaglandin E1(PGE1)誘発下痢に対するloperamideの効果を麻薬性鎮痛剤やatropine,mecamylamine,局所麻酔剤の効果と比較検討し,以下の結果を得た.(1)Loperamideは,ヒマシ油経口投与によるラットの下痢に対し強力な止瀉作用を示し,ヒマシ油投与1時間後まで下痢の発現を抑制するED50値は0.082mg/kg p.o.であった.その活性はmecamylamineの1.5倍,methadoneの5.6倍,morphineの7.6倍,atropineの15.2倍,codeineの22.4倍,pethidineの97.9倍であった.一方,Haffner法による鎮痛作用では,loperamideのED50値はラットで149mg/kg p.o.であり,morphineのED50値は32.0mg/kg p.o.であった.止瀉作用の選択性を(鎮痛作用のED50値/止瀉作用のED50値)で表わすと,loperamideの値は1817,morphineの値は51.3であった.(2)ラットのPGE1静注による下痢の発現はloperamideにより抑制された.PGE1下痢に対するloperamideの止瀉活性はヒマシ油下痢に対する止瀉活性と比べて大差を示さなかった.(3)マウスの小腸輸送能を120分にわたり20%以上抑制するloperamideの用量(ID 120min)は0.8mg/kg p.o.であり,この活性はmorphineの9.2倍,methadoneの17倍,codeineの19倍,pethidineの44倍であった.なお,loperamideの作用持続時間はmorphineやmethadone,pethidineよりも長かった.(4)LoperamideのLD50値はラットで249mg/kg p.o.であった.以上の結果からloperamideは強力で持続性の止瀉作用を有し,止瀉作用の発現量と鎮痛作用の発現量あるいは急性致死毒性量との間に大きな用量差を示す薬物であると考えられた.
  • 荘司 行伸, 河島 勝良, 清水 当尚
    1978 年 74 巻 1 号 p. 155-163
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    モルモットの摘出回腸ならびに生体位小腸および結腸の蠕動におよぼす止瀉剤loperamideの影響をatropineおよびmorphineの作用と比較検討し瀉以下の結果を得た.(1)摘出モルモット回腸のTrendclenburg法による蠕動はloperamide 10-8~2 × 10-8g/mlの適用によって抑制された.(2)腸内容量を多くした場合に生じるモルモット生体位小腸の嬬動はloperamide 0.03mg/kg i.v.以上の投与により抑制された.同様な効果はmorphineo 0.03mg/kg i.v.あるいはatropine O.05mg/kg i.v.以上の投与でもみられたが,morphineの作用持続時間はloperamidcよりも短かかった.(3)腸内容量を多くした場合に生じるモルモット生体位結腸の蠕動はloperamide 0.01mg/kg i.v.以上の投与により抑制された.同様な効果はmorphine 0.1mg/kg i.v.あるいはatropine 0.03mg/kg i.v.以上の投与でみられた.(4)Loperamide 0.01~0.03mg/kg i.v.あるいはmorphine 0.1mg/kg i.v.の投与後に,結腸蠕動の記録基線に軽度な上昇がみられた.以上の結果にもとついて,腸壁伸展により生じる蠕動を抑制するloperamideの効果とその止瀉作用との関連性を考察した.
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