抄録
 国内外の巨大地震後の情報空白期における早期かつ確実なる被害情報の収集にALOS衛星のPALSAR画像を活用することを目的として,CバンドSARセンサに基づく既往の建物被害推定モデルをLバンドSARセンサであるPALSAR画像に適用できるよう,1995年兵庫県南部地震を観測したJERS-1衛星のSAR画像(Lバンド)から全壊率に関する尤度関数を再構築した。そして,震度情報の被害関数との統合処理により,SAR画像から建物全壊率分布を定量的に推定できることを示した。さらに,構築したモデルを2007年のペルー沖地震と2008年の中国四川地震を観測したPALSAR画像に適用し,現地調査や被害判読結果との比較から手法の妥当性を検証した。