澱粉科学
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起源をことにする各種澱粉粒のパンクレアチンによる分解性
杉本 温美大西 恵子高谷 友久不破 英次
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1979 年 26 巻 3 号 p. 182-190

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抄録

 1)一般に穀類(地上)澱粉粒の方炉地下澱粉粒よりも酵素により分解されやすいといえるが,地上澱粉にも,バナナ,高アミローストウモロコシ,ギンナンの澱粉粒のようにパンクレアチンで分解されにくい例外があり,地下澱粉にもサトイモの澱粉粒のように分解されやすい例外のあることがわかった. 2)マメ澱粉粒のin vitroでの分解性は,さつきみどり菜豆澱粉粒が比較的高い分解性を示したが,その他のマメ澱粉粒は高い分解性を示さなかった.また,分解後残った澱粉粒のSEM観察の結果,マメ類の澱粉粒はトウモロコシ澱粉粒のように穴があいてこわれる様子を示さなかったが,トウモロコシの場合と同様,粒内部の層状構造が認められた. 3)マメ類の澱粉含量は,大豆で1%前後,落花生で5%前後,その他のマメ類は30~45%前後であった. 4)発芽前および発芽7日目の子葉切片のSEM観察の結果,7日間の発芽により細胞中で澱粉粒のつまり方がいく分少なくなり,表面に変化が認められたが,トウモロコシの発芽の時にみられるような穴や層は,小豆および落花生を除いてみられなかった.

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© 日本応用糖質科学会
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