日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌術後の早期イレウス発症症例の検討
中島 康高橋 慶一安野 正道森 武生
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2001 年 54 巻 5 号 p. 323-327

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抄録

大腸癌の術後30日以内に発症した早期イレウスについて検討した. 早期イレウスは初発大腸癌手術2193例中99例, 4.5%にみられた. 99例を保存的治療群69例と再開腹術群30例に分類し, さらに経口摂取再開前にイレウスとなった12例( 早期手術群) と経口摂取再開後にイレウスとなった18例 (待機手術群) に分類した. 年齢, 性, 初回術式, 原発巣占居部位, 郭清範囲に差はなく, 原因の70%は癒着性であった. 早期手術群は保存的治療群より手術時間 (234 : 178分p=0.0079) は長く, 出血量 (1066 : 479mlp=0.0017) は多かった. 発症時期は術後6日以内が31.4%, 7日目以降は68.6%であった. 保存的治療で40.4%が6日以内に, 63.6%が9日以内に軽快したが, 早期手術群は全例が8日以内に再開腹となった. 待機手術群は平均20日間の保存治療後に再開腹となった. 術後早期にイレウスを発症した症例では6~9日間の保存的治療で軽快しなければ再開腹を考慮すべきと思われた.

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