抄録
先天性幽門閉鎖症は100万出生に1例程度の発生であり,非常に稀である.このため,出生前診断の報告も少ない.[症例] 母体は21歳,近親婚なし.33週2日,前期破水を認め,当院に母体搬送.来院後の超音波で羊水過多および胎児の胃泡の拡張を認めた.ステロイド投与を行い,子宮収縮抑制を行っていたが,経過中も胎児の胃泡のサイズに変化はみられなかった.34週0日,2,114gで出生,出生後の腹部単純X線写真,上部消化管造影から先天性幽門閉鎖症と診断し,日齢4で幽門形成術施行.術後経過は良好である.出生前に先天性幽門閉鎖症と診断しえた1例を経験したので,文献的考察をまじえ報告する.