抄録
本論文では音声波を非定常確率過程として捉え, 音声波に対し階層的構造をもつモデル化を行い, 各階層で得られた特徴量間距離の重み係数づけ加算を識別距離と定義し, 日本語68単音節の識別実験を行った. ここに提案する階層的マッチング法は, 通常のDPマッチングに比べて計算量を減らすことができる. 分析窓の場所を適切に決めるセグメンテーションにおいては対数尤度比関数を用いた. そして, 階層的マッチング法を用いて日本人の成人男女各1名に対し日本語68単音節の識別実験を行い, 平均89.8%の識別率を得た. この識別率は通常のDPマッチングより7.2%高く, 本方法の有効性が明らかとなった.