日本森林学会誌
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多変量線形モデルによる林分成長要因探索のための変数選択
吉本 敦柳原 宏和二宮 嘉行
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2005 年 87 巻 6 号 p. 504-512

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抄録
本研究では,林分の成長を左右する要因探索のための統計的手法を提示した。その方法は,まず,個々の林木の成長データにそれぞれ成長曲線をあてはめ,曲線の係数を推定する。次に,推定された成長曲線の係数値を新たな観測値とし,それらの値を被説明変数,考えられ得る要因を説明変数とした多変量線形モデルを構築する。説明変数の組み合わせを変えることにより,さらに組み合わせの数だけ多変量線形モデルを構築する。最後に,得られるモデル群に対し,交差確認法に基づく情報量規準(CV規準)を用いて,その規準量を最小にするモデルを最適なモデルとして決定し,最終的に成長に影響を与える要因の組み合わせを探求する。この手法の適用事例に,平成15年2月に福岡県八女郡星野村の村有林(無間伐林)で行った林分調査から得られた23年生のスギ(Cryptomeria japonica)30本の胸高直径および樹高の成長データを用いた。分析の結果,胸高直径および樹高の成長に影響を与える要因は,現時点での胸高直径の大きさと半径5m基準円内における周辺林木の距離による重み付き平均胸高直径となった。
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