日本森林学会誌
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論文
  • ―海岸林再生に用いる材料としての利用可能性―
    米道 学, 塚越 剛史, 軽込 勉, 久本 洋子, 大森 良弘, 練 春蘭, 佐藤 光彦, 佐々木 崇徳, 松尾 歩, 陶山 佳久, 後藤 ...
    2020 年 102 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    クロマツは耐塩性が高いがマツ材線虫病抵抗性が低く,アカマツは耐塩性が低いがマツ材線虫病抵抗性が高い。マツ材線虫病抵抗性と耐塩性の両方が高い材料を作出するため,本研究では,クロマツ×アカマツ推定雑種由来の実生に着目した。まず,推定雑種2クローンについて, MIG-seq法で核DNAの遺伝的組成を調べた。次に,推定雑種由来の実生苗について,葉緑体DNAのPCR-RFLP法により花粉親を判別した。ついで,クロマツ,アカマツ,推定雑種の実生苗を用いて,切り枝および苗木を海水に浸漬しFv /Fmを測定した。さらに,針葉中のナトリウム濃度を質量分析計で測定した。DNA分析の結果,推定雑種が両種の中間に分布したこと,それらの実生苗の花粉親は全てアカマツであったことから,これらはクロマツ×アカマツの雑種第一代にアカマツの花粉がかかる戻し交雑で生じたと示唆された。推定雑種由来の実生のFv /Fmはアカマツよりも有意に高く,Na含有量はアカマツよりも低かった。推定雑種由来の実生苗は耐塩性を持ち,さらにマツ材線虫病抵抗性を示すことも確認されているため,海岸林再生の材料として利用できる可能性がある。

  • 千葉 翔, 河津 祥太郎, 林田 光祐
    2020 年 102 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    林床にササが優占する蔵王連峰のオオシラビソ林では,穿孔性昆虫による局所的な集団枯損が発生している。本研究では,山形県側に分布する528 haの同種の森林を対象に,衛星画像を用いて各50 mメッシュ内にある個体の枯損率を調べ,GISにより集団枯損の分布と対応する立地を検討した。枯損率60%以上のメッシュが集中する地区は大別して3カ所あり,その大部分は高標高域の西側斜面に位置していた。しかし,同立地の多くは枯損率が20%未満のメッシュであったため,集団枯損の局所的な発生を立地条件だけで説明することはできなかった。28個のメッシュ内に調査区を設定し,ササの林床被度と後継樹密度との関係を調べたところ,ササが密生するほど同種の実生や稚樹の数は減少した。ササの被度は標高が上がるにつれて増加する傾向があり,後継樹密度は高標高域で低かった。その傾向が顕著であった地蔵岳の西側斜面は,高標高域に枯損率の高いメッシュが最も集中しており,枯損林内に設定した調査区には実生や稚樹がまったくなかった。したがって,地蔵岳西側斜面の集団枯損林はその後の更新が困難と予測された。

短報
  • ―高齢なコナラ林の萌芽更新の可能性―
    荻原 謙, 後藤 晋
    2020 年 102 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    高齢・大径木化した雑木林を萌芽再生させるための条件を明らかにするために,本研究では,12年生から76年生までの幅広い林齢のコナラ林を対象に,環境要因(標高,傾斜)と株自体の要因(伐採時の林齢,株直径,伐採高,幹本数)の調査を行った。伐採から1~3成長期経過後に萌芽発生率,萌芽枝の発生本数,萌芽枝のサイズを調べ,これらに環境要因と株自体の要因が及ぼす影響を一般化線形混合モデルで調べた。伐採から3成長期が経過した後の萌芽発生率は林齢が高くなるほど低下し,40年生の林分で62%,50年生で46%,60年生で32%と推定された。伐採から3成長期が経過した時点では,伐採高が高く幹本数が多い株ほど,萌芽枝の発生本数が多くなった。また,林齢が高くなると萌芽枝の最大高と最大直径は小さくなったが,幹本数が多い株ほど,萌芽枝のサイズは大きくなった。全体として,60年生を超えると萌芽更新は難しいものの,40~50年生程度では萌芽が発生する可能性があり,その際,伐採株1株当たりの幹本数が成否を検討する指標となりうると考えられた。

  • 尾分 達也, 佐藤 宣子
    2020 年 102 巻 2 号 p. 120-126
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    高性能林業機械を導入した事業体による素材生産割合が増す一方で,経営費に占める修繕費と機械購入費割合の高さが課題となっている。機械の稼働率を高め,機械経費を削減する方法を明らかにするため,宮崎県の素材生産事業体7社を対象に,修繕と機械更新の事業体戦略についてインタビューを実施した。修繕費削減には故障や事故等の発生抑制が求められ,稼働時間別に機械利用を考えた作業,および機械の丁寧な扱いが重要であった。自社での軽微な修繕作業やリース利用に付帯する保険加入も経営戦略となっていた。機械台数の多い事業体は,機械更新の仕組みを作り自己資金で定期的に更新をしていた。機械台数の少ない事業体では,補助金利用やレンタル利用も戦略となっていた。しかし,それぞれ中古売却の制限,長期利用時のコスト増が課題であり,機械の更新までの時間を伸ばし,機械更新の仕組み作りが重要であることが示唆された。

  • ―埼玉県秩父市と東京都豊島区の事例から―
    香坂 玲, 大澤 太郎, 内山 愉太
    2020 年 102 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    2019年4月に森林経営管理法が創設され,市町村を中心とした新たな森林管理の枠組みが設けられ,そのための費用が森林環境税の導入に先駆けて同年度から市町村に交付される。その地方譲与税としての森林環境譲与税の自治体への配分については,私有林人工林率のみならず,人口も考慮されるため,都市部にも一定の配分がなされる。都市部では木材利用の促進といった施策が進められる傾向にあるが,本来の制度趣旨に沿うかたちで,都市-農山村連携を促すことも意図されている。本稿では,その萌芽的事例として,東京都豊島区と埼玉県秩父市の事例を対象として,連携の経緯と課題,可能性について考察を行った。結果,両自治体の姉妹都市としてのこれまでの経験や,秩父市における周辺自治体との広域連携を含む林政の展開が,環境譲与税を活用した都市-農山村連携のコンテクストとなっており,環境譲与税のさらなる活用に向けた県と市の人事交流による人的資源の補完等の可能性も把握された。

  • 越河 一樹, 太田 徹志, 溝上 展也, 山本 一清, 井上 昭夫
    2020 年 102 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    地上レーザスキャナによる森林計測では,樹高が過小に評価される。この問題を解決するために,本研究では,幹材積を推定する方法として提案された「望高法」を以下のように改良した。胸高直径を一定の倍率で縮小した上部直径の地上高を望高と定義する。また,伐倒木の樹幹形データをもとに,あらかじめ望高と樹高との関係を定式化しておく。すると,TLSによって計測した望高を関係式に代入することで,樹高を推定できる。針葉樹4種(スギ,ヒノキ,カラマツおよびバンクスマツ)の伐倒木データを用いて,樹高と望高との関係を解析するとともに,改良した方法のTLS計測への適用可能性を検証した。その結果,TLSによって望高を正しく計測できれば,樹高の過小評価を軽減できることがわかった。

その他:国際学会参加記録
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