日本消化器外科学会雑誌
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多発性漿液性膵嚢胞腺腫の1例
安積 靖友宮村 一雄古谷 義彦中山 伸一堀田 芳樹田頭 幸夫
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2256-2260

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抄録

膵頭部と体部に多発した漿液性膵嚢胞腺腫を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は49歳の女性で, 腹部不快感を主訴として来院, 腹部超音波検査にて膵頭部に直径3cmの, 体部に直径1.5cmの多発性嚢胞像が認められ, 精査の結果多発性の漿液性膵嚢胞腺腫を疑い, 膵頭体部十二指腸切除術を施行した.切除標本を検索すると膵頭部の腫瘤は5×3×4cmで周囲の膵実質とは明瞭に区別されており, 漿液性の液を含む2~16mmの多数の嚢胞からなり, 主膵管は軽度狭窄が認められた.膵体部の腫瘤は直径1.5cmで1~6mmの多数の嚢胞から構成されていた.病理組織学的には膵頭部と体部に多発した漿液性膵嚢胞腺腫と診断した.
膵頭部と体部に多発した漿液性嚢胞腺腫の1例を報告し, 病理所見と対比して画像診断上粘液性嚢胞腺腫との鑑別点について文献的に考察した.

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