抄録
45歳男子にみられた胃平滑筋芽細胞腫の病理組織像, 捺印細胞像と同時に電子顕微鏡の所見について検討した. 組織学的には本腫瘍の特徴の一つとされている, 核周囲のPASおよび脂肪染色陰性の空胞がみられた. 銀染色では細い銀線維が1個から数個の細胞を取り囲むように発達していた. 捺印細胞像では, N/C比は小さく, 細胞形態は円形ないし多辺形のものがほとんどをしめていた. 核は円形ないし楕円形で核縁はほぼ平滑, 大部分が細胞質内に偏在し, 核クロマチンは穎粒状であった. 電子顕微鏡の検索では細胞質内に密な細線維を認めた.