老年歯科医学
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口腔乾燥状態と唾液の性状との関係
第1報健康成人の場合
真下 純一岡根 百江佐藤 裕二北川 昇北村 由紀子
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2008 年 23 巻 3 号 p. 319-329

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抄録

近年, 人口の高齢化に伴い, 口腔乾燥感を訴える患者数は増加してきており, 口腔乾燥症の潜在患者もかなりの数に上ると考えられる。一般に, 唾液量が減少すると唾液の粘性が高くなり, 「口が乾く」「ネバネバする」といった不快な症状を示すといわれているが明確ではない。そこで, まずは, 健康成人において双方の関係に着目し, 口腔乾燥状態を客観的に評価する検査項目の結果と唾液の性状との関連性を検討した。
被験者は健康成人20名 (男性12名, 女性8名: 平均28.3±2.7歳) で, 測定は夕食前に行い, 食事や水分摂取の影響を除くため, 測定30分前からの飲食・喫煙を禁止した。口腔乾燥状態を評価する方法として,(1) 口腔粘膜保湿度 (2) 唾液湿潤度,(3) 安静時唾液分泌速度を測定した。唾液の性状を評価する方法として (1) 粘性 (毛細管吸い上げ高さ試験),(2) 曳糸性を測定した。
「唾液湿潤度」と「曳糸性」の問で負の相関が認められ (p<0.05), 「安静時唾液分泌速度」と「粘性」の間で負の相関を示し (p<0.05), さらに, 「粘性」と「曳糸性」では正の相関が認められた (p<0.05) 。
以上の結果より, 口腔乾燥状態と唾液の性状に関連性があることが明らかになり, 口腔乾燥状態と唾液の性状が相互に関係して口腔乾燥感につながっていく可能性が示された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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