抄録
穿通枝領域梗塞急性期における進行増悪の予測因子を検討した.対象は発症3日以内の非心原性で主幹動脈病変を伴わない穿通枝梗塞61例である.入院後2日以内にNIHSS 2点以上の増悪があったものを進行群とし,臨床評価項目と進行の有無との関連を検討した.安定群45例,進行群16例で,進行群では脂質代謝異常を有する例,病巣の長径が15 mm以上の例が多く,入院時D-dimerが有意に高値であった.ロジスティック回帰分析では,病巣サイズ(15 mm以上)とD-dimerが進行の有無と有意な関連を認めた.病巣サイズとD-dimerは,穿通枝領域梗塞における進行性脳卒中の予測因子であることが示唆された.