非根治成人ファロー四徴症に合併した奇異性脳塞栓症の1例

青木 志郎; 大槻 俊輔; 野村 栄一; 中村 毅; 郡山 達男; 松本 昌泰

doi:10.3995/jstroke.31.122

症例報告

非根治成人ファロー四徴症に合併した奇異性脳塞栓症の1例

青木志郎, 大槻俊輔, 野村栄一, 中村毅, 郡山達男, 松本昌泰

著者情報

キーワード: tetralogy of Fallot, paradoxical embolism, right-to-left shunt, deep vein thrombosis, hyperviscosity

ジャーナルフリー

2009 年 31 巻 2 号 p. 122-126

DOI https://doi.org/10.3995/jstroke.31.122

詳細

抄録

症例は63歳男性運転手，幼少時よりファロー四徴症を指摘されていたが，手術は受けずに観察されていた．突然の意識障害と右片麻痺を発症し当科入院．頭部MRI（拡散強調画像）にて左視床，小脳半球に新鮮梗塞巣を認めた．心臓エコーにて心室中隔欠損，右左シャントを認め，下肢静脈エコーにて両側腓骨静脈に壁在血栓，経頭蓋ドプラでは，脳底動脈に攪拌生理食塩水の末梢静脈投与によりhigh intensity transient signals（HITS）を検出し，奇異性脳塞栓症と考えた．根治手術未施行のファロー四徴症の予後は極めて不良であり，高齢者に初発した脳塞栓症例は本報告が初めてである．慢性低酸素血症に伴う多血症により易血栓性があり，深部静脈血栓症による奇異性脳塞栓再発予防にはワーファリンによる抗凝固療法が必要であると考えた．

責任著者(Corresponding author)

J-STAGEへの登録はこちら（無料）