脳卒中
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31 巻 , 2 号
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原著
  • 古賀 政利, 上原 敏志, 長束 一行, 安井 信之, 長谷川 泰弘, 岡田 靖, 峰松 一夫
    2009 年 31 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    背景および目的:脳卒中では緊密な連携の重要性が強調されている.脳卒中地域医療における急性期病院の実態を明らかにする.
    方法:急性期病院2,185施設に対しアンケート調査を行った.
    結果:有効回答46%で,うち52%が脳卒中患者を診療していた.多くが,地域医療圏は二次医療圏(45%)であるとし,その中心的役割は急性期病院(69%)と回答した.他の急性期病院,回復期リハ病棟,一般診療所,維持期施設事業所,周辺地域全体,自治体との連携が良好は75%,75%,74%,69%,73%,34%であった.医療(介護)情報を既に共有しているのは20%(14%)で,共有する予定51%(51%),共有する予定なし25%(30%)であった.医療保険と介護保険のシステムでは十分なリハビリを提供しにくいとの回答が67%に達した.
    結論:脳卒中連携において中心的役割を担う急性期病院でも,地域での情報共有は未だ十分ではなかった.
  • 南里 悠介, 薬師寺 祐介, 高島 洋, 江里口 誠, 岡田 竜一郎, 黒田 康夫
    2009 年 31 巻 2 号 p. 74-78
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:佐賀県中部地区における脳梗塞超急性期のrecombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)治療圏を検討する.方法:対象は発症-来院時間が明確で,我々の施設へ直接救急搬送された脳梗塞患者連続53名(rt-PA投与群19例・非投与群34例).rt-PA治療適応の時間的条件を発症から病院到着までの時間<120分とし,発症現場から病院までの距離,時間的要素(分)(発症から救急隊へ電話連絡までの時間ta,電話連絡から救急隊の現場到着までの時間tb,現場到着から病院到着までの時間tc)を二群間で比較検討した.結果:rt-PA投与群では,taが有意に短かった.rt-PA投与の限界圏は,当該施設から半径38km以内であった.結論:rt-PA治療の普及には,一般市民,救急隊への教育に加え,地域ごとの脳卒中医療ネットワークの構築が重要である.
  • 幸崎 弥之助, 稲富 雄一郎, 米原 敏郎, 橋本 洋一郎, 平野 照之, 内野 誠
    2009 年 31 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:発作性心房細動に対する電気的除細動直後の脳梗塞発症について,その背景因子と臨床像を検討した.
    対象と方法:1995年4月から2003年11月の期間に,当院で発作性心房細動に対し電気的除細動を実施した連続768例.除細動後の脳梗塞発症群,非発症群とで比較を行った.
    結果:9例(1.2%)で除細動後10日以内に脳梗塞が発症した.同期間中に脳梗塞を来さなかった759例から無作為に抽出した45例と比較した結果,除細動までの心房細動持続時間(OR 1.26,95%CI 1.03∼1.53)が,有意かつ独立した脳梗塞発症因子であった.
    結論:脳梗塞合併予防のために,発作性心房細動に対する発症後早期の電気的除細動の必要性が示唆された.
  • 出口 一郎, 武田 英孝, 古屋 大典, 服部 公彦, 名古屋 春満, 加藤 裕司, 福岡 卓也, 棚橋 紀夫
    2009 年 31 巻 2 号 p. 86-95
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    【目的】発症3時間以内の脳梗塞超急性期症例でのt-PA静注療法適応判定におけるCT perfusion(CT-P)の有用性について検討した.
    【対象】2007年4月から2008年3月までに発症3時間以内に来院した脳梗塞患者40例(男28例,女12例.平均年齢71,発症∼来院時間平均93分)のうち,頭部CT,頭部MRI(拡散強調画像DWI・MRA)およびCT-Pすべてを施行した14例.臨床病型は心原性脳塞栓症(CE)7例,アテローム血栓性脳梗塞(AT)6例,ラクナ梗塞(LC)1例であった.
    【結果】CT-Pを施行した14例のうち,来院時NIHSS11点以下の8症例中6例は灌流異常を指摘できなかった.症例の内訳はLC 1例,CE 3例,AT 2例であった.また2例(CE:M2閉塞,AT:M1狭窄)は灌流異常領域を認めたがDWIの高信号域との差を認めなかった.NIHSS15点以上の症例はすべてdiffusion-CT perfusion mismatch(DPM)を認めた.またDPMを認めた6症例中5例にMRA上主幹動脈病変を認めた.t-PAは14例中10例に施行した.
    【結語】発症3時間以内の超急性期脳梗塞において,軽症例および脳主幹動脈病変のない症例ではCT-Pの必要性は低く,中等症および重症例ではDPMを評価するためCT-Pは有用であると考えられた.
症例報告
  • 川堀 真人, 黒田 敏, 安田 宏, 穂刈 正昭, 岩崎 素之, 斉藤 久寿, 中山 若樹, 岩崎 喜信
    2009 年 31 巻 2 号 p. 96-99
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    遺残舌下動脈(persistent hypoglossal artery,PHA)を分岐する内頸動脈の狭窄病変により内頸動脈系および椎骨動脈系の塞栓症を同時に発症した1例を報告する.症例は73歳男性.右頸部内頸動脈狭窄とPHAを指摘されていた.突然の意識障害などをきたして搬送された.意識障害(JCS II-10),眼球運動障害,皮質盲,左不全片麻痺が存在し,MRIにて右前頭葉,両側後頭葉,脳幹,両側小脳に急性期の梗塞巣を認めた.保存的治療およびリハビリを行ったが,両側皮質盲を後遺した.諸検査にて心原性塞栓は否定され,右頸部内頸動脈狭窄症に起因するartery-to-artery embolismが内頸動脈,PHAを介して多発性脳梗塞をきたしたと考えられた.PHAを合併した内頸動脈狭窄症による脳梗塞はわずかに報告されているのみであり,その診断や治療については注意が必要である.
  • 栗本 太志, 小島 隆生, 高須 俊太郎, 波多野 範和, 辻内 高士, 青木 恒介, 椎名 諭, 鈴木 善男
    2009 年 31 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    出血発症のもやもや病症例において,再出血は予後増悪因子とされている1).異常血管網にかかる負荷を,側副血行路を増やすことで軽減し,再出血を予防するため,血行再建術が行われる1)2)が,本邦でも,Japan Adult Moyamoya Trial(JAMT)にて有効性を検討中3)である.
    本症例は,脳室内出血で発症し,両側の直接及び間接血行再建術を施行したが,その4年後に脳出血を来たした.片側の浅側頭動脈(STA)-中大脳動脈(MCA)吻合部から離れた中大脳動脈皮質枝上に,生じたde novo aneurysmが出血源であると思われた.これに対し,神経内視鏡手術と血管内治療を用いて効果的に治療しえた一例を報告する.
  • 下島 恭弘, 下島 吉雄, 服部 健, 瀧澤 壮臣, 上條 幸弘, 山嵜 正志
    2009 年 31 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    脳幹梗塞発症急性期に痙攣発作を呈した72歳の男性症例を経験した.来院時に意識障害と左上下肢麻痺を認め,来院直後から痙攣が出現した.頭部MRI拡散強調にて橋の右側腹側と両側背側に梗塞巣が描出され,MRAで脳底動脈に狭窄所見を認めた.数日の経過で痙攣発作の出現はなくなったが,右眼球の内転障害が残存した.大脳皮質に痙攣の原因となり得る梗塞巣は認めなかった.脳幹虚血にともなう痙攣発作は稀な徴候ではあるが,脳幹梗塞にともなう痙攣発作の可能性があることも考慮する必要性が示唆された.
  • 郭 樟吾, 石井 卓也, 長谷川 譲, 福田 隆浩, 阿部 俊昭
    2009 年 31 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    症例は73歳女性.痙攣発作にて発症し頭部CT上,脳室内出血を認め,脳血管撮影を施行したところ皮質静脈への逆流と静脈瘤を合併した横-S状静脈洞部DAVF(以下,T-S DAVF)を認めたため,根治療法として血行動態を検討した上で,開頭術を施行した.既往歴として5年半前に頸動脈海綿静脈洞瘻(以下,CCF)に対して経動脈的塞栓術(以下,TAE)を施行されているが,その時点ではT-S DAVFは認められていないことから時間的・空間的に多発したDAVFと診断した.時間的・空間的に多発したDAVFは非常に稀であり,加えて本報告では病理学的な検索もしており,多発性DAVFのetiologyを考慮する上で一助になると思われたため文献的考察を含めて報告する.
  • 郭 樟吾, 岩本 哲明, 本間 秀樹, 自見 康孝, 郭 水泳, 阿部 俊昭
    2009 年 31 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    症例は潰瘍性大腸炎の既往がある43歳女性.左不全片麻痺にて発症し救急受診.頭部CT,MRIより脳梗塞や脳腫瘍等を疑わせる所見であったため,これらに準じた治療を行った.しかし経過中に症状が急速に増悪し,脳血管撮影を行ったところ上矢状静脈洞の閉塞を認めたため,潰瘍性大腸炎に合併した上矢状静脈洞血栓症と診断した.その後も脳浮腫による脳ヘルニアの増大を認め,減圧術も考慮したが家族の同意が得られず保存的治療とし入院7日目に死亡した.
    潰瘍性大腸炎に脳静脈洞血栓症を合併することは稀であるが,発症すると本症例の如く急速増悪し,不幸な転帰をとることもあり早期診断・早期治療が非常に重要であると考えられたため報告する.
  • 青木 志郎, 大槻 俊輔, 野村 栄一, 中村 毅, 郡山 達男, 松本 昌泰
    2009 年 31 巻 2 号 p. 122-126
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性運転手,幼少時よりファロー四徴症を指摘されていたが,手術は受けずに観察されていた.突然の意識障害と右片麻痺を発症し当科入院.頭部MRI(拡散強調画像)にて左視床,小脳半球に新鮮梗塞巣を認めた.心臓エコーにて心室中隔欠損,右左シャントを認め,下肢静脈エコーにて両側腓骨静脈に壁在血栓,経頭蓋ドプラでは,脳底動脈に攪拌生理食塩水の末梢静脈投与によりhigh intensity transient signals(HITS)を検出し,奇異性脳塞栓症と考えた.根治手術未施行のファロー四徴症の予後は極めて不良であり,高齢者に初発した脳塞栓症例は本報告が初めてである.慢性低酸素血症に伴う多血症により易血栓性があり,深部静脈血栓症による奇異性脳塞栓再発予防にはワーファリンによる抗凝固療法が必要であると考えた.
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