マグロ赤身肉を試料とし,グルコース溶液との間の平衡関係および浸透,抽出の両方法についてグルコースの魚肉中の移動速度を測定し,移動機構を調べた.その結果,塩類やタンパク質の移動で見られた移動方向による速度,機構の違い,膨潤・収縮の強い影響などはなく,完全に非定常拡散理論で説明できることを明らかにした.また,拡散係数については浸透操作でわずかに小さく,温度の影響は溶液中における拡散係数に及ぼす影響と同じであること,魚肉内と水中における拡散係数の関係は2価の塩類に関する相関関係の上に位置づけられることなどを明らかにした.