歌声における
声区
, ピッチ, 強さの調節機構を, 職業的声楽家について研究した.研究には, 喉頭筋筋電図と声帯の高速度映画撮影を用いた.
声区
は主として声帯筋によって調節される.
声区
が重い程声帯筋の収縮は強い.側筋と横筋は
声区
の調節に当たって声帯筋を助ける.したがって, 重い
声区
では声帯は厚く, 粘膜波動は著明で声門閉鎖期が長く, 開閉速度率が大きい・前筋は声帯筋の拮抗筋として
声区
に影響を与える.しかし, 第一義的の
声区
調節者ではない.
一般に, 声帯緊張筋および内転筋の活動はピッチの上昇とともに増加する.しかし, 軽い
声区
の高い音域では, これらの筋のピッチの調節への関与度はより小さい.
重い
声区
の低い音域では, 声の強さは主として内転多によって調節されるが, 軽い
声区
の高い音域では主として呼吸筋によって調節される.
声区
, ピッチ, 強さは生きた人間においてはお互いに全く独立した因子ではない.
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