日本薬理学雑誌
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実験技術
Film in situ zymography(FIZ)法を用いた組織マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性と局在の検出
村松 理子高井 真司宮崎 瑞夫
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2003 年 121 巻 2 号 p. 113-118

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抄録

癌の浸潤·転移,血管新生などの病理的過程において,細胞は周囲の細胞外マトリックスを破壊しながら浸潤していく.この様な細胞浸潤の過程で細胞外マトリックスを分解する酵素として,マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase; MMP)が良く知られている.これまで組織中のMMPは,免疫組織化学染色法やELISA法によるタンパク質としての検出,電気泳動を利用したzymography法による活性の検出という方法により解析されてきた.最近,ゼラチン薄膜を均一に塗布したポリエステルフィルムを使ってFilm in situ zymography(FIZ)法が開発され,ゼラチンを基質とするプロテアーゼ活性の検出および組織内での活性局在を簡便にまた定量的に検出することが可能となった.このFIZ法を利用した癌や関節リウマチにおけるMMP活性の組織内局在を検討した研究が報告され始めている.FIZ法は簡便であり,今後,MMPが関与する多くの分野で汎用されることが予想される.本稿では,ハムスタースポンジ皮下移植血管新生モデルでのFIZを用いた実例とともに測定技術を紹介した.

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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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