日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8) 創薬研究の新潮流(10)
計算システム生物学による創薬:分子,構造からネットワークへ
夏目 やよい水口 賢司
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2017 年 149 巻 2 号 p. 91-95

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抄録

創薬研究における時間,労力,費用といった様々なコストを下げ,革新的な創薬シーズを効率よく探索する試みの一つとして,コンピュータ解析(①データベース,②統計的モデリング,③数理モデリング)が積極的に利用されつつある.年々増加の一途を辿るデータベースを有効に利用するために,データベースの統合や,格納されたデータの解析を支援するプラットフォームの構築といった試みが需要を増している.また,収集された大量のデータから生物学的に意味のある情報・知識を引き出す技術が必要となることから,機械学習の手法の重要性は高い.一方,利用できるデータ量が不十分である場合などにおいても,理論計算によってシミュレーションをおこなうことにより観測している現象の本質を推定するアプローチも有効であり,これらの手法の特徴を理解した上で目的に応じたコンピュータ解析をおこなうことが肝要である.

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© 2017 公益社団法人 日本薬理学会
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