主催: 日本地球化学会年会要旨集
富栄養湖沼は大気二酸化炭素の除去源となりうるかを調べるため日本を代表する富栄養湖沼手賀沼において表面水二酸化炭素濃度の通年観測を2013年4月から2015年5月にかけて実施した。この湖沼の大気への寄与を明らかにする。
表面水二酸化炭素分圧は430から14000μatmの間にあり、常に大気二酸化炭素分圧(約400μatm)を上回っていた。すなわち手賀沼は大気二酸化炭素の放出源となっていた。手賀沼全体から大気へ放出された二酸化炭素は2013年と2014年でそれぞれ730MgC、540MgCと見積もられた。湖内の全炭酸の収支バランスから、湖内での高い生物生産のために消費される無機炭素(4,800MgC/年)は、湖水内での生物による有機物の分解(2,600MgC/年)、河川から(2,200MgC/年)、そして堆積物から(1,900MgC/年)の供給により支えられていた。