地下水は、良好な水質を有する水源として、生活用水などに広く利用されてきた。しかしながら、水需要の増加に伴う地下水の揚水量の増大などによる地盤沈下、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物や硝酸性窒素などによる水質汚染、都市化の進展などによる湧水の枯渇等の問題が顕在化し、さらに近年では気候変動に伴う海水面の上昇や降水量の変化による地下水・地盤環境への影響も懸念されている。本稿に於いては、地下水質と地盤環境の現状について紹介するとともに、それらの保全のための環境省の施策の状況や今後の展望について報告する。