日本泌尿器科学会雑誌
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原著
シロドシン投与全症例の有害事象と継続率についての検討
古屋 亮兒舛森 直哉古屋 聖兒小椋 啓武藤 雅俊小林 皇久末 伸一塚本 泰司
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2010 年 101 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

(目的) シロドシンの有効性と,有害事象,服用継続率について後ろ向きに検討した.
(対象と方法) 発売(2006年5月)より2008年10月までに当院でシロドシンを1日8mgで投与した全症例256例中,前立腺癌などを除外した前立腺肥大症に伴う排尿障害の195例を対象とし,国際前立腺症状スコア(IPSS),QOLスコア,尿流測定および残尿測定について投与前後で比較し,全般重症度,全般治療効果,および有害事象と服用継続率について検討した.
(結果) 年齢は平均68.1歳,平均投与期間は3.1カ月で,全般重症度は全例が中等症以上であった.シロドシン投与前後にIPSS,QOLスコア,尿流測定および残尿測定のすべてが施行された90例で検討した結果,それら全てのパラメータは投与後有意に改善し,蓄尿症状と排尿症状の双方の改善が認められた.一方で,全般治療効果は不変・悪化が46%を占めた.シロドシンの有害事象は28.7%に見られ,射精障害が10.8%と最も多かった.有害事象がある症例は有意に年齢が低く,投与後のIPSS,QOLスコアが低かった.Kaplan-Meier法によるシロドシンの服用継続率は1年で12.0%であった.有害事象のある症例で有意に中止した症例が多く,また中止症例はQOLスコアが服用継続症例に比べ,有意に高かった.
(結論) シロドシンを継続するには減量する等投与法の工夫が必要と考えられた.

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© 2010 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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