2014 年 70 巻 6 号 p. II_45-II_56
本研究では,バイオマスを用いた地域熱供給システム構築のために,札幌市厚別地区の事例研究を通して,既存地域熱供給への接続義務化による熱需要増加を図り,そしてそれを補うために未利用バイオマスである稲わらを導入した場合の事業性(事業採算性とCO2削減)改善の検討を行った.接続義務化による熱需要増加により事業採算性は大きく改善する.収集費が高い稲わら利用は,現状以上の収益を確保できるが,天然ガス利用に比べて燃料費の経費増大につながる.それに対して,CO2クレジットや配管への補助金の施策は,稲わら利用による経費増大分の一部を賄える可能性があること,さらに収益増加分の還元による値下げは,地域熱供給利用につながるインセンティブになることを示した.