抄録
和歌山県にとって林業は基幹産業の一つであり,その振興は県にとって重要な課題である.また,木材はカーボンニュートラルな資源であり,地球温暖化対策として活用が必要とされている.林業振興と地球温暖化対策の双方の対策として,未利用間伐材のエネルギー利用が各所で進められている.本稿では,和歌山県中部の日高川町を対象として,未利用間伐材を木質パウダー燃料として利用することで可能となる温室効果ガス削減量と経済的効果の検討を行った.活用を図る対象としては,和歌山県では,ほとんどが林地に放置されている植林後25年後の間伐材とした.木質パウダー燃料化の評価は,先行的に導入された施設での調査を行い,その結果を利用した.経済効果は,対象の日高川町の産業連関表を作成して検討を行った.検討の結果,温室効果削減可能量約550t-CO2/年,波及的経済効果62百万円,雇用効果3人程度の環境保全や経済的効果を定量的に明らかにした.