2017 年 34 巻 2 号 p. 2_51-2_63
オープンソースソフトウェアの利用は多くのソフトウェア開発においてライフサイクルに大きく影響する因子となっている.企業は単に既存のオープンソースソフトウェアを利用するだけでなく,開発者を業務としてオープンソース開発に参加させるなど,様々な形でオープンソース開発コミュニティに関与している.本稿では,受託開発契約によるソフトウェア開発とオープンソースライブラリを同時に開発することで,受託開発における利益を確保しつつ,同時にオープンソースライブラリ開発での具体的なアプリケーションを得た事例を2つ紹介し,議論としてOSS工学に期待することを説明する.