美術教育学:美術科教育学会誌
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「造形遊び」の題材における幼児の造形表現過程に関する研究
村田 透
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2016 年 37 巻 p. 415-428

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抄録
本研究の目的は,幼児期の子どもの造形表現過程の具体性を明らかにすることである。そのため筆者は,子ども(4歳児と5歳児)を対象とした「造形遊び」を実践し,関与観察とエピソード記述を用いて分析・考察した。明らかになったことの1つ目は,造形表現行為を通して,子どもは身の周りの環境にかかわり,自分にとっての固有のものやことの意味をつくり,自分のアイデンティティをつくり出していたということである。2つ目は,子どもの表現行為は,多様な特徴(「材料遊び」「操作遊び」「構成遊び」「模倣遊び」など)がある〈いま-ここ〉によって成り立ち,それらが入れ替わり立ち代わり生じるということである。3つ目は,子どもの表現行為の過程は,多様な特徴がある〈いま-ここ〉の表現が,次の〈いま-ここ〉の表現を誘発して,表現過程に連続性や発展性が生じる場合もあるということである。
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© 2016 美術科教育学会
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