抄録
本研究は,現代日本の生命哲学に見られる生命論と,現代芸術文化のエコロジーの思潮,及びポストモダンにおいて再考されるデューイの経験的自然主義の考えを理念とし,その考えに立った生命主義的自然観を基軸にした教育の「個の想像的世界の形象化」の段階における芸術の働きと内容を示すことを目的としている。そのプロセスの質的分析から,この段階が芸術の統合的,想像的機能が作用する段階にあることを検証し,1997年~2016年に調査及び参与観察において収集した事例の分析から,その表現内容の特徴が,物語性,再現性,自然との関係性,メッセージ性にあることを示した。そして,その段階ではコンテクストが形象化のプロセスにおいて統合し,芸術が自然及び生命に関わる新たな意味を生成し,自然や生命に対する見方や感じ方を拡張させていくことを示した。