本研究プロジェクトは,小学校図画工作科と中学校美術科の接続性や連続性に着目し,小中連携による美術教育の可能性を検討することを目的としている。本稿は研究成果の第2報として,茨城県K市で図画工作科・美術科を担当している小・中学校教員を対象としたアンケート調査を手がかりに,図画工作科と美術科が連携した教育を推進するための課題について考察した。 小・中学校教員214人分の回答を基に,教員の小中連携に対する認識や指導意識及び指導の実態を分析し,異なる学校種同士が相互理解や協力を通して,小中連携を推進するために必要な取組について検討した。 その結果,小・中学校教員が,生涯に渡る美術教育の構想と発達の段階を生かす視点をもち連携教育への意識を高めること,小・中学校が合同で実施する研修や中学校教員が小学校で授業を行う「出前授業」の実施によって,小・中学校教員の相互理解を深めることなどを具体的な課題として指摘した。