美術教育学:美術科教育学会誌
Online ISSN : 2424-2497
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「表現」と「創造」それぞれの本来的意味と差異
縣 拓充
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2020 年 41 巻 p. 1-15

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抄録
本論文では,美術や美術教育の中で,同じ「つくる・描く」活動を指して用いられる「表現」と「創造」という二つの言葉について,それぞれが本来的に意味するものや両者の差異を明確化することを試みた。検討の結果,表現は動物が他個体に何かを訴えようとする「コミュニケーション」として捉えられること,他方の創造は,個人が楽しみながら新しい刺激や環境を探索する,「遊び」の延長上にあるものとして捉えられることが分かった。本論文では,このように表現と創造の体験をそれぞれコミュニケーションと遊びに起源をもつものとして位置付けた上で,両者を企図した教育実践をデザインする上での要件を検討した。合わせて,いずれの学びも,表現や創造と鑑賞/模倣との間の連環の中で深まっていくことを確認した。
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© 2020 美術科教育学会
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