本研究の目的は,シュタイナー学校(SteinerSchulen)の一般的な欧米のカリキュラムを指標にしながら,東アジア地域のシュタイナー学校における授業実践と教師への聞き取り調査をもとに,「ヴァルドルフ教育(Waldorfpädagogik)」という教育論がどのように展開されているのかを,造形教育を中心に明らかにすることである。その際,中国,台湾,韓国,日本のシュタイナー学校を研究対象にした。その結果,ヴァルドルフ教育では,カリキュラムはドグマではなく,教師が自分本位の授業を行わないようにするための資料と捉えられていることを確認するとともに,東アジア地域のシュタイナー学校では,それぞれの文化や伝統,歴史,環境,地域に根づいた造形教育が展開され,欧米とは異なった独自の形で新たに自国のヴァルドルフ教育が生まれつつあることを解明した。
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