2020 年 41 巻 p. 285-296
本研究の目的は,図工・美術教育におけるアニメーション題材に含まれる複合的なねらいを整理し,実践者の構造的な理解を助ける概念モデルを構築することである。本稿ではまず現行教科書に掲載されているアニメーション題材を対象とした横断的視点からの内容分析を行い,それらに含まれる教育のねらいを抽出することを試みた。計30件の題材を分析した結果,10のねらいが抽出された。次にそれらをアニメーションを学ぶことを目的としたねらいと,アニメーションを通じて何かを学ぶことを目的としたねらいに分類し,双方をつなぐ概念モデルとして2層構造のモデルを構築した。このモデルは図工・美術におけるアニメーション教育実践のための「地図」として,また授業改善のためのアセスメントツールとしての可能性を持つと考えられる。