2020 年 41 巻 p. 335-352
本研究の目的は,「造形遊び」における子どもの論理に基づく探究の仕方を明らかにすることである。そのために「石鹸クリームづくり」の事例を分析・考察をした。 結論は以下5つである。1つ目は,子どもは周りの環境と相互作用して,固有のものやことの意味や,自分のアイデンティティをつくる。2つ目は,子どもの「造形遊び」は多様な特徴(「材料遊び」「操作遊び」「模倣遊び」)がある。3つ目は,子どもは「わからない」状態から「わかる」状態にむけて問題を創出し,価値を吟味する探究を行う。4つ目は,子どもの探究における理解・納得は,自他の文化的価値の受容と創出と表裏一体である。5つ目は,子どもの探究の原動力は矛盾への気付きが関与している。子どもは矛盾を解決する学習行為を通して,新たな論理的概念を形成し,理解・納得する。