抄録
本論は,藍の叩き染めや生葉染めに見る染色上の限界を補うために,化学建てによる藍染めに焦点を当て,具体的な実践提案とそれによる子どもの学びを検討するものである。実践は,(1)マメ科のインド藍を用いた化学建てによる藍染め,(2)染色業者と共同で独自に生成した化学建ての染料,及びその染料を用いた保育実践,を取り上げた。また,上述のインド藍を用いた藍染め及び独自染料を用いた藍染めの保育実践について,どのような教育的な価値や意義があるかについて論じた。最後に,本主題に最も関連すると考えられる領域「表現」の内容や,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の内容,藍染めの実践を行った保育者の見解,藍染めを行った子どもの学びの様子を相互に関連付けながら考察した。