2022 年 43 巻 p. 35-49
本研究は,広島県に在住の障害のある人・サポートする人を対象に,これまで十分に明らかにされてこなかった入所施設や通所施設等での表現活動および美術展覧会の鑑賞に関する実態を明らかにすること,そして文化施策への接続を想定した障害のある人たちのニーズを焦点化することを目的とした。調査では,広島県,広島大学,広島県アートサポートセンターが連携し,14項目で構成した質問紙調査を実施した。広島県内の20市町,370名の回答を集計・分析した結果,特別支援学校卒業後に表現及び鑑賞の機会が減少していること,美術展覧会の鑑賞では広汎性発達障害の人たちが特に行きづらさを感じていること,現在表現活動や鑑賞活動をしていない人の約8 割が表現や鑑賞をしたい,もしくはしてほしいと考えていることが明らかになった。