美術教育学:美術科教育学会誌
Online ISSN : 2424-2497
Print ISSN : 0917-771X
ISSN-L : 0917-771X
図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する実践研究・Ⅷ
-教師の発話分析を通した授業研究プログラムの構想-
大泉 義一
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 43 巻 p. 51-67

詳細
抄録

本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する継続研究である。現在,学校教育現場において行われている授業研究会においては,教師相互の授業力向上には寄与するものの,各教師の「観」にまで踏み込んだ本質的な授業論に基づいた協議が十分に行われているとは言い難い。そこで本研究では,教師の第3 教育言語の分析を通した教師の「観」をふまえた授業研究の可能性について検討している。はじめに,これまでの発話研究で明らかになった知見から,教師の第3 教育言語を析出する手がかりを整理し,さらにそれらが発せられる際に顕在化している教師の「観」を導出することで,発話分析指標を仮定している。次に, 学校教育現場の教師らと発話分析に取り組み,その分析結果と考察を協議する発話分析研究会を試行的に実践している。その際には,筆者が先述した発話分析指標を援用しながら協議のファシリテーションを行うことで,教師の発話とそこに根付く「観」を対象にした授業研究の可能性を検討している。そして,その試行実践を通して発話分析研究会の運営の改善を図ると同時に,授業研究プログラムを構想している。

著者関連情報
© 2022 美術科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top