美術教育学:美術科教育学会誌
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図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する実践研究・Ⅸ
-教師の「子ども観」をふまえた授業研究の意味-
大泉 義一永縄 啓太
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2023 年 44 巻 p. 53-70

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抄録

本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する継続研究である。前研究で開発した発話分析指標を用いた授業研究プログラムの汎用性と妥当性を検討している。前研究と同様に,学校教員による発話分析研究会を組織し,そこでの協議内容を対象に,以下のアクションリサーチを実施している。まず,授業者を含む3 名の教員が,小学校図画工作科の授業を対象に発話分析協議に取り組んでいる。同時に,前研究に参画した2 名の教員が協議を観察し,そこに内在する「観」の析出を行っている。そして,以上の活動に対して,授業研究における「観」の意味について考察を行っている。その結果,以下の事項が明らかになった。第一に教師の発話分析を通した授業研究プログラムが,現場教師による授業研究の方法として汎用性を有するものであったこと,第二に,協議においては参加者らが自らの「観」をふまえた考察を交流していたこと,第三に,その交流を通して,参加者らが互いの「子ども観」を自覚することの重要性である。

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