美術教育学:美術科教育学会誌
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1915年の写生教育
-『長野県内小学校聯合教科研究会図画手工研究録』に見る「写生」-
大島 賢一
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2023 年 44 巻 p. 71-84

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抄録

本稿は,1915(大正4 )年に開催された長野県内小学校聯合教科研究会図画手工研究会の報告書『長野県内小学校聯合教科研究会図画手工研究録』掲載研究発表のうち,「写生」という言葉を明確に用いている22編を対象に,そこでの写生の意味,目的,臨画教育との関わり等について検討を行った。その結果1 )多くの教師が写生教育の必要性とその意義を主張している。2 )そこでの写生は統一されたものではなく,単に客観的な形態描写の訓練と理解するものから,主観的,個性的表現をさせるものとするグラデーションがある。3 )臨画については写生の予備的な訓練としているものが多く,その目的は,写生の教育目的によって異なったものとなっている。4 )一部発表者から,臨画教育の問題の指摘と排斥が主張されている,ということがわかった。

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