美術教育学:美術科教育学会誌
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最新号
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  • 2023 年 44 巻 p. Cover1-
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. App1-
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. i-iii
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • -創造美育運動に関する研究( 3 )-
    新井 哲夫
    2023 年 44 巻 p. 1-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,創造美育運動の歴史的役割の終期を明らかにしようとするものである。そのため,「創美論争」と創造美育協会会員名簿に関する研究成果をふまえ,運動の転換期である1950年代末を境に活動時期を二分し,それぞれの歴史的役割を明らかにした上で,その終期について検討した。その結果,前期の役割は,戦後の民主主義社会にふさわしい美術教育のあり方を戦後初期にいち早く提示したことにあり,1950年代末までにその役割を終えたこと,後期の役割は,創造美育の理論と運動が児童中心主義のシンボルとして官製教育改革に対するオルタナティブを提供したことにあり,その役割は,全国規模の啓蒙活動としての創造美育運動が実質的な終焉を迎えた1960年代末に終わったことを明らかにした。
  • 有田 洋子
    2023 年 44 巻 p. 19-36
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    千葉大学の美術教育学の制度的成立過程の三段階を解明した。第一段階:千葉師範学校から千葉大学へ美術教官の多くは移行した。移行しなかった教官は文検出身者であった。美術科教育関係授業は分担されていた。第二段階:昭和39年2 月学科目省令発足時の同大学美術関係学科目は絵画,彫塑,構成,美術理論・美術史,美術科教育の五つ全てで,各学科目への人員配置も迅速になされた。美術科教育の学科目には森桂一が所属した。第三段階:大学院設置を目前に,戸田健夫と長南光男が美術科教育に所属を移動した。昭和57年4 月に大学院教育学研究科と美術教育専攻が設置され,これにより千葉大学の美術教育学の制度的基盤は成立した。
  • -コミュニティにおけるアートベース・プロジェクト-
    池田 吏志, 福田 浩子, 森 万由子, 川尻 博満, 川口 隆司, 保田 香織
    2023 年 44 巻 p. 37-51
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,障害のある人を対象とした対話型鑑賞をオンラインで実施し,参加者が対話を通してどのような解釈を創出し,どのように相互の意見やアイデアが作用するのかを明示することを目的とした。参加者は,通所施設に通う主に知的障害のある成人6 名を対象とした。鑑賞会では,広島県立美術館が所蔵する小林千古の《ミルク・メイド》を用い,同館学芸員をファシリテーターとする対話型鑑賞を行った。逐語録を作成し,各参加者による発話の相互作用を分析した結果,参加者は根拠に基づいて自身の解釈を生成でき,さらに他者の発言に対し,追加,変更,組み合わせを行うことで自身の考えを再構成できていた。本研究では,障害のある人達を含むコミュニティにアートベースの活動を持ち込み,その有効性を示すと共に, 障害観や能力観の再考を促す。
  • -教師の「子ども観」をふまえた授業研究の意味-
    大泉 義一, 永縄 啓太
    2023 年 44 巻 p. 53-70
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する継続研究である。前研究で開発した発話分析指標を用いた授業研究プログラムの汎用性と妥当性を検討している。前研究と同様に,学校教員による発話分析研究会を組織し,そこでの協議内容を対象に,以下のアクションリサーチを実施している。まず,授業者を含む3 名の教員が,小学校図画工作科の授業を対象に発話分析協議に取り組んでいる。同時に,前研究に参画した2 名の教員が協議を観察し,そこに内在する「観」の析出を行っている。そして,以上の活動に対して,授業研究における「観」の意味について考察を行っている。その結果,以下の事項が明らかになった。第一に教師の発話分析を通した授業研究プログラムが,現場教師による授業研究の方法として汎用性を有するものであったこと,第二に,協議においては参加者らが自らの「観」をふまえた考察を交流していたこと,第三に,その交流を通して,参加者らが互いの「子ども観」を自覚することの重要性である。
  • -『長野県内小学校聯合教科研究会図画手工研究録』に見る「写生」-
    大島 賢一
    2023 年 44 巻 p. 71-84
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,1915(大正4 )年に開催された長野県内小学校聯合教科研究会図画手工研究会の報告書『長野県内小学校聯合教科研究会図画手工研究録』掲載研究発表のうち,「写生」という言葉を明確に用いている22編を対象に,そこでの写生の意味,目的,臨画教育との関わり等について検討を行った。その結果1 )多くの教師が写生教育の必要性とその意義を主張している。2 )そこでの写生は統一されたものではなく,単に客観的な形態描写の訓練と理解するものから,主観的,個性的表現をさせるものとするグラデーションがある。3 )臨画については写生の予備的な訓練としているものが多く,その目的は,写生の教育目的によって異なったものとなっている。4 )一部発表者から,臨画教育の問題の指摘と排斥が主張されている,ということがわかった。
  • 大西 洋史
    2023 年 44 巻 p. 85-96
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,図画工作の授業における教師のパフォーマンスに関する継続研究となる。本研究においては,これまでの研究で得られた結果と小学校図画工作科の授業での調査を比較検討することで,PF-NOTEを用いた教師のパフォーマンスの評価方法の効果を検討することを目的としている。 具体的には,評価者6 名が授業を参観し教師の立ち居振る舞いを評価する際に,PF-NOTE やCommentScreen といった機器を使用して即応的に記録する。トランスクリプトを用いて, 評価の高かった場面においての参観者が評価した観点の分析を行い,これまでの研究の成果と比較した。そして,パフォーマンスを窓口に授業を比較することで,評価システムの効果を確認するとともに,パフォーマンスを構成する8 つの要素の評価指標としての有効性を再確認した。
  • -知識,読解,読解的鑑賞-
    岡田 匡史
    2023 年 44 巻 p. 97-112
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿主眼は,信州大学教育学部附属松本中学校で2021年2 月25日に実践した,ヴェロネーゼ「カナの婚宴(1562-63年)」の鑑賞授業(対象:第2 学年)の検証(ワークシート記載内容の分析・検討が主)を踏まえ,読解的鑑賞の理論的整備を図ることである。知識については認知心理学的所見を,読解についてはPISA型読解力を参照し,絵を前に既得知識相互の新たな配合や,発見した画面情報や授業で得た関連的諸知見を既得知識と柔軟に関係付け,新知識の複合的生成が促される,読解的鑑賞の特徴的働きを明らかにする。上記授業は二部構成を取り,前半を自由解釈,後半を作品解説と言う,知識伝授の是非を議論する立場からすると対立的関係で捉えられる二つを接続するが,両者が緊密に繫がり合い有機的統合が持続される状態こそが,読解的鑑賞の本質であると主張する。
  • -純粋贈与と無・無意識・自己表出-
    金子 一夫
    2023 年 44 巻 p. 113-124
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    著者は以前に美術教育実践の贈与交換・相互交感・純粋贈与の三層構成を指摘し,また,前稿では表層・深層・無意識という三層構造を検討した。本稿はこの二つの三層の対応可能性, 特に純粋贈与と無意識との関連を検討した。純粋贈与は形式的贈与交換の下で見えにくい形で存在することを指摘した。次いで矢野智司の言う「発達としての教育」と「生成の教育」の二概念のうち,後者が純粋贈与に当たること,中沢新一の言う贈与・純粋贈与が著者の三層に対応することを確認した。また,山本正男の無に関心づけられた美的体験論と,吉本隆明の沈黙からの自己表出という芸術言語論を踏まえて,純粋贈与・美的体験・自己表出の相同性を確認した。最後に坂本小九郎の版画教育実践が贈与交換論的意識に満ちていたことを坂本の著書から証明した。
  • 鎌田 純平
    2023 年 44 巻 p. 125-136
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,中学3 年生を対象とした,アクリルガッシュを使用した自画像制作における,事前の技法練習の効果について検証するものである。そこでは,技法練習が生徒の作品に対する充足感を向上させるうえで有効に作用すると仮説をたてた。 実践後の質問紙調査の結果から,約7 割の生徒は自画像制作を通して充足感を得ていたことがわかった。更に生徒の感想から,技法練習による生徒の技能向上を基盤として,絵画制作に対する抵抗感を抑制する効果及び創造的な技能を発展的に活用させる効果の2 点が,充足感を高める要因として抽出された。技法練習が絵に対する苦手意識を克服させるとともに,着彩方法の可能性を広げ,一層の創意工夫を促していた。そのことにより,生徒らは創出した主題を技能と調和させ,より充足できる作品として実体化させていたのである。
  • -大正期から昭和初期にかけての童画に着目して-
    神谷 睦代
    2023 年 44 巻 p. 137-153
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,倉橋惣三が幼年絵雑誌『コドモノクニ』『キンダーブック』等に求めた芸術性について明らかにすることである。研究方法として,倉橋の関連文献の分析・絵雑誌の装丁や童画等の芸術性・倉橋の児童芸術論及び鑑賞教育論との関連という三つの視点から考察を行った。その結果,倉橋は大正モダニズムの影響をうけた童画の造形美や雑誌の大きさ・紙質・色彩等の美的調和に対する従来の評価とは異なる視点で,その芸術性を特に岡本帰一の童画に見出し「幼年絵心」として捉えていたことが確認された。また,倉橋がこれら絵雑誌に託した真の幼児教育的ねらいは「鑑賞の教育」によって「人間性の完成」を目指し,子ども一人ひとりの心の向上を図ることに結びつくと考えられる。さらに,その先には,人類全体の向上として文化の進化・拡大を見据えていたことが示唆された。
  • -アファンタジアを含めた認知多様性に対応するインクルーシブな美術教育 に向けて-
    佐原 理
    2023 年 44 巻 p. 155-165
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    我々の脳は単純な視覚入力に対して触覚を脳内で信号生成して受容している。しかしそうした映像的触覚知の形成は個人差があり,触覚刺激を誘発しない特性の者もいることをNIRS (近赤外分光法)を用いて明らかにした。そうした被験者に対し,触覚を強調する映像メディアの授業実践にまつわる作業を追加でおこなったところ,再度のNIRS調査では賦活することが認められ,美術教育上の活動によるシナプス可塑性が認められた。よって,美術教育は認知特性の開発効果があることが認められる。また,視覚的イメージを脳内で形成しないアファンタジアは3 %から4 %で出現し,さらに約4 割程度の人々は心的視覚イメージの想起が容易ではないことが予見された。本研究の結果は,認知多様性に基づくインクルーシブな個別最適化した表現・鑑賞のプロセス開発,心的視覚イメージ形成のサポートツール開発など,新たなフェーズで美術教育実践の開発をする必要性を示唆している。
  • -言語化された表現主題の変化と生徒と環境との相互行為に着目した分析を 通して-
    妹尾 佑介
    2023 年 44 巻 p. 167-179
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本論は,美術の授業において,生徒の表現主題が変化する際の学びを見取るために,表現過程に沿った表現主題の変化に影響する因子を明らかにすることを目的とする。高校1 年生の授業を混合研究法で分析した結果,表現主題は表現過程で変化し,視覚に関連する語や擬態語が増加する傾向と, 3 つの因子が明らかになった。因子1 :触れながら表現主題に適した材料を選択する際の相互行為,因子2 :友達や教師などの他者との共感的な関わりの中で,表現主題を説明する際の相互行為,因子3 :他者から過去に評価された技法や材料を再活用する際の相互行為。この成果より,表現主題の言語化の有効性が確認でき,さらに,表現主題は,他者や材料などの環境との相互行為によって変化し続けるものであることが明らかになった。
  • -木を描こう/ヒーロー孔雀明王/リベット工作の教材実践から-
    髙橋 文子
    2023 年 44 巻 p. 181-192
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿における「芸術知」概念は,芸術に関する形象と感性の統合された美術の方法論的認識である。その概念に基づく重層的な感性的表象を3 側面(内容的/形式的/形成的)の上昇から捉える分析指標モデルを構想し, 3 つの教材にて検証を行った。3 側面の分析から「木を描こう」では形式的,形成的側面の伸長が強く示され,「ヒーロー○〇明王」では形式的側面(墨の濃淡と筆致)と内容的側面(テーマ性)が感性的表象の質的上昇を促進した。「リベット工作」では仕組みを生かす流れを再考することが導かれ,その教材の特性と共に指導のポイントも明確になった。抽出された美的な表象を支える要素は,適切な教材観を導くことから分析指標モデルの有効性が実証された。
  • -小学校の図画工作科における題材の展開を視野に入れて-
    辻 大地
    2023 年 44 巻 p. 193-206
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は児童期の描画活動・漫画表現に関する実態解明型の実証研究である。具体的には造形教室に通う小学生51人を対象として,漫画のコマ割り表現に関するワークシートを用いた実践をおこない,その様子を参与観察してエピソード記述をおこなった。また児童が表現したコマ割り表現に関するワークシートの結果を検証し,さらに対象児童へのアンケート調査をおこなった。 その結果,児童期の子供はワークシートの設定や指導者の援助があれば,漫画のコマ割り表現のよさや表し方を理解し楽しみながら表現すること,また複数の絵(コマ)の組み合わせや配列によって新たな意味や解釈を創造することがわかった。
  • -1990年代からはじまった「教育情報化基本計画」施策をたどって-
    長島 聡子
    2023 年 44 巻 p. 207-219
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    2020年度は,新型コロナウィルスのパンデミックのためオンライン授業等非対面での教育活動への対応に迫られた年であった。韓国での局面を乗り越える拠り所となったのは,2010 年代に全国の教育機関に導入されていたオンライン学習管理制度であった。 本論稿ではそのようなe ラーニング制度が整った背景にある,韓国の「国家情報化」政策に着目した。コロナが流行した「第6 次教育情報化基本計画」の時期には,学校における行政情報システム化や,教員と学生のためのオンライン学習空間であるLMS(学習管理システム)が概ね全国的に網羅されていた。そういったシステムを活用し実施した2020年前期のコンピュータによる作品制作授業実践を取り上げ考察した。非対面授業では教師と学生に分断があること,機械装置を介した知覚には「差異」があることなどを論述した。
  • -自由画掲載開始時における地方画家「伊藤弥太」と地方紙『秋田魁新報』 の視点-
    長瀬 達也
    2023 年 44 巻 p. 221-234
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本論は筆者の「秋田県自由画教育」に関する研究に続く,戦前の地方図画教育,特に秋田県図画教育の進展に関する研究の一環である。『秋田魁新報』の自由画掲載開始時を中心として,自由画選評を担当することになった地方画家「伊藤弥太」を主に図画教育の観点で分析,考察した。結果,以下のことなどを確認した。 1 .伊藤は学校教育における図画教育を芸術的観点で捉えていた。 2 .『 秋田魁新報』が自由画選評担当を伊藤とした理由は,画力や文筆力を高く評価していたこと,図画教育に対する姿勢を支持していたことなどであった。
  • 学びの構造と授業の構造,または発問構成について
    新野 貴則, 市川 安紀
    2023 年 44 巻 p. 235-250
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本論は,図画工作科の表現活動における,子どもの主体的な学びの実現を目指す指導方法の基本的な考え方の構築を目指し,その手掛かりとして教師の発問の構成について検討するものである。まず,主体的な学びの構造を仮説として立てる。具体的には,子どもが豊かなイメージとこれに基づく問いを形成し,その実現に向けて考え,試みていくものとした。次に,学びの構造と授業の構造は並行する関係にあると捉える。その上で,子どもの問いの形成を促し授業を方向付ける発問を授業構成レベルの発問として計画し,さらに,学習状況に応じて子どもの問いの実現を導く授業展開レベルの発問を計画することができると考えた。二つの授業実践研究からこの考え方は実現可能であること,さらに,題材の特徴に応じて発問を構成できることを確認することができた。
  • -文部省および東京造画館発行掛図を対象として-
    牧野 由理
    2023 年 44 巻 p. 251-262
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,明治期に発行された教育掛図について考察したものである。本稿では現存する文部省および東京造画館から発行された博物・理科掛図を対象として分析を行い,その特質を明らかにした。文部省が明治初期に発行した博物図は羅列的な標本画であったが,明治41 (1908)年に発行した《尋常小学理科掛図》と《高等小学理科掛図》には日本画家・飛田周山による透明感を感じさせる巧みな描写図も含んだ絵画的なものであった。同時期に東京造画館が発行した《最新理科教授用掛図》は色彩豊かで立体的かつ絵画的な描写がみられた。教科書の図版は簡素な標本画だったが,掛図は色彩豊かで生態に即した図が使用されていたことから,掛図がこの時代の児童の物のイメージを形成し,図画を描くときにはそれが想起されたと結論づけた。
  • 茂木 祥宏
    2023 年 44 巻 p. 263-279
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,高校生がデザインの学習に取り組む際,地域と連動した探究型学習を行うことで,デザインへの理解がどの程度深まったかを明らかにすることを目的とする。地元企業と連携し企業のPRポスターを作成する題材において実践を行い,その教育的効果を確認した。生徒の活動の記録やワークシートを分析した結果,地域との対話や生徒間での情報共有等を含んだデザインの学習活動は,生徒の視野を広げると共にデザインへの意識変容へと繋がった。 一方で,指導を行う上での留意点等はまだ明確な体系化が出来ていない。育成する資質・能力観や評価の観点・指導方法をより洗練させ拡張性を持たせるためにも,実践的な継続研究を進めていく。
  • -国内文献レビュー-
    森田 亮
    2023 年 44 巻 p. 281-298
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    肢体不自由特別支援学校の図画工作・美術科指導に関する研究動向と教育実践上の課題を明らかにするため,22件の研究論文をレビューした。その結果,造形遊び,工作,映像メディア,鑑賞を扱った題材の検討が進んでいない状況を明らかにした。また,【図画工作・美術科の意義】【活動・表現の実態】【指導目標の設定】【指導内容の設定】【評価】【指導方法の工夫】【指導・支援の態度と体制】に関する知見に整理した。教育実践上の問題点として,「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」といった中長期的に育つ力の評価と育成を実現できていない可能性を指摘した。課題として,障害特性と「重大な観念(「見方・考え方」)」に基づき精選したカリキュラムの構築,中長期間での力の変容を評価するための指標開発と評価資料の蓄積を挙げた。
  • -幼児造形教育への展開を中心にして-
    横田 咲樹, 髙橋 慧, 岡山 万里
    2023 年 44 巻 p. 299-310
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本論は,幼児造形教育における用語「手触り」に焦点を当て,研究動向の概観と用語の吟味を行うものである。具体的な研究手順としては,第1 に,用語「手触り」が指し示す意味内容を,関連研究から抽出して考察する。第2 に,見出された意味内容を視点として,「手触り」の研究と幼児造形教育の今後求められる方向性について論考する。その結果,用語「手触り」を捕捉する視点として,「感触」「素材特性の一部」「認知の基礎」が導出された。この3点は,子どもの学びを読み取り,保育を構想する際の視点となると共に,研究成果を累積するための考察項目になると考えられる。議論を発展させるとすれば,「感触の抵抗感の軽減」「保育教材となる素材の分類や体系化」「材質感の学び」について考察ができる。
  • -国民学校制度の準備期と施行期を対象にして-
    和田 学
    2023 年 44 巻 p. 311-324
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本の国民学校芸能科工作における模型飛行機を教材とした教程を対象とし,ドイツのナチス政権下のNSFK(National Sozialistisches Flieger Korps:国家社会主義の航空兵団)の教程の影響を考察するものである。特に1939(昭和14)年~1940(昭和15)年の国民学校制度の準備期と1941(昭和16)年の施行期において,両国の系統付けられた模型の工作法と航空知識に焦点をあて,教材配列の特性の比較と考察を行う。本研究の結果,飛行体の空中移動の方向と図面の構成上のモチーフの向きを同様に扱う点,模型機の飛行時の曳行器を設計する際,滑車の仕組みを応用する点に共通点があり,影響がみられた。
  • 2023 年 44 巻 p. 326-327
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 328-330
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 331-332
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 333-335
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 336
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 337-338
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 339
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. 340
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 44 巻 p. App2-
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
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