抄録
本稿では,社会に開かれた工芸教育の可能性について考察する。研究を進めるにあたり,工芸教育をその対象や目的に応じて,学校教育,職業教育,社会教育に分類し,三者の関係性を明らかにすることから始めた。その上で,工芸を軸としたコミュニティ形成のあり方について社会教育に基づくアートベース・リサーチに取り組んだ。具体的な実践内容については,アートプロジェクトの手法を踏まえて日常的に工芸と関わることができる場を開くことを調査方法として用いた。その結果,かつての職能集団とは異なる形で,工芸に対する関心を共有する実践共同体が形成される可能性を示すことができた。これは,ワークショップという言葉の本質的な意味でもある「工房」への回帰と見なすこともできる。こうした場のあり方に社会教育としての工芸ワークショップの一つの実践モデルを見出した。