抄録
本研究は,フィンランドの美術教育の特徴や思想,動向について明からにすることを目的としている。本稿では,フィンランドにおける社会教育施設としての機能を有する代表的な美術館である国立アテネウム美術館,現代美術館キアズマ及びデザイン博物館を対象に,その特色と教育普及活動に焦点を当て現地調査を行い,関係者への聞き取り取材を行った。その結果,これらの美術館では,①専門職員が独自のプログラム策定と運用による教育普及活動を実施し,②国や自治体の支援による学校と連携した活動を行うことで,子どもたちへの芸術教育に寄与していた。さらに③ICTを利用して,特に遠隔地等に住む国民にも芸術作品に触れる機会を提供しており,同国の芸術振興及びポストコロナ期を視野に入れた美術館の役割と教育普及活動の動向が明らかになった。