抄録
本研究では教師の美術体験に根ざした美術科授業づくりの一方法論を構築する。本稿ではその一部の「①教師の美術体験とはどのようなものか」「②教師は美術科授業づくりにおいて,被教育者や状況を意識しつつ,教育内容,教育活動をどのように形成していくのか」について,実践から得た知見と他の研究とを関連付けて理論化した。教師の美術体験は多様で,教師に教育内容,個別指導の根拠となる具体的・個別的な美術の方法論と美術の理由を実感させる。具体的な美術の方法論は抽象化されて体系化され教育内容や教育活動の根拠となる。教育内容となった抽象化された美術の方法論は,被教育者や状況に合わせて現実的・具体的・個別的になる。教師にとっての美術体験は,美術科授業づくりのためだけに行うものではないと捉える必要があることを提案した。