抄録
本論は,鑑賞体験の影響を視線・瞳孔計測によるデータから分析した。中学生103名を対象に,鑑賞活動の前後に同一の作品を5分間見る群と鑑賞活動を体験しないで同一の作品を5分間2回観る群を比較した。また,被験者の属性に関する視覚アンケートも併せて実施して,計測データと重ねて分析した。分析の仮説として,鑑賞活動を経験することで,①詳しく観る②広く観る③長く観る,の三観点を設定し,分析した結果,被験者からこの三観点の影響を示すデータが確認することができた。ただ,鑑賞活動の有無の影響について,鑑賞活動の影響か,芸術作品に対する日常的な興味関心の違いか,厳密に区別することはできない。被験者の客観的な状態を反映する計測データによって,鑑賞活動が被験者に興味関心を喚起する影響を与えている状態が明らかになった。