抄録
好奇心は,新しい情報を獲得したい欲求であり,探究や創造性の源とされている。本研究では,「トリックアート」の制作や交流を行った創造的活動における,知的障害のある児童の好奇心の高まりや探究する様子をエスノグラフィーの手法で考察した。「トリックアート」は,児童が好きな画像や写真の中に入り込んだ合成写真のことである。児童は,友達に感化された言動や新規な表現を生成するようになった。本実践終了後も,児童は好奇心に基づいた探究や創造性を生み出し,創造的自己効力感が芽生えたことが推察された。好奇心を育む要因として,交流方法,場の創出,新奇な活動が挙げられた。