抄録
本稿は,幼小接続期の子どもの「造形行為を伴う遊び」の好みと,教科学習への興味との関係性を検討するものである。検討にあたり,小学校低学年児185名を対象とした質問紙調査を実施した。質問紙で, 6 つの「造形行為を伴う遊び」の好みと選好教科を調査した結果, 4つの遊びグループで選好教科に特定の偏りがあることが示された。その偏りとは,感覚的遊び群の約5 割で体育が,ものづくり群の約6 割で図画工作が,ごっこ遊び群の約4 割で音楽が好まれる傾向にあることである。このことにより,子どもの好む「造形行為を伴う遊び」の特性と,選好教科の学びの特質や学び方に相関性があることが示された。また,「幼児期につくったもの」についての質問から,造形表現に関連した総合的な活動と,子どもの記憶との間に関連性があることが示唆された。