抄録
本論の目的は,美術の授業における高校生の学びを,意味付けと他者との関係から考察し, 他者と新たな意味付けをしようとする学習態度を育むための手掛かりを得ることである。他者からの影響の実感を測る尺度として「Self-as-We尺度」を活用し,授業分析を行った。その後,量的データに特徴のあるグループを抽出し,相互行為分析を行った。その結果,次の3つの学びの傾向が明らかになった。①他者の感じ方を知り,自己の作品を意味付ける過程で, 他者から影響を受けている実感が高まる傾向,②意味付けを新たに創造しようとする学習態度と,意味付けを他者に伝えようとする学習態度が存在し,学習環境に応じて度合が変化する傾向,③意味付けの検討を重ねている生徒は,他者の言葉によって意味付けが拡張しやすい傾向である。