日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[2Hp] 野菜、果実
アップサイクル・地域共創に貢献する熟成塩レモン(シトロンコンフィ)の開発と風味特性
*原田 悠平下村 健太
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p. 117-

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抄録

【目的】 

昨今,SDGsが注目されている.柑橘系のフレーバーを製造する弊社としても,SDGsへの貢献を目的とし,広島県・兵庫県(瀬戸内エリア)にて,レモンの収穫・搾汁工程の現地視察を実施した.現地視察を通じて,可食部であるにも関わらず廃棄されるレモンの部位(以下,レモン内皮とする)が年間100トンにのぼる事を知った.そこで,同じ瀬戸内の赤穂産あら塩を用いて,熟成塩レモン(以下、シトロンコンフィとする)としてアップサイクルした商品や新規レモンフレーバーを開発し,企業コラボレーションや地域共創へとつなげることを目的とした.

【方法】

シトロンコンフィはモロッコ発祥の調味料として知られており,レモンを1週間以上塩漬けにして熟成させる.そこで、本研究ではレモン内皮,赤穂産あら塩,水を混ぜた後、25℃ 1週間静置する工程を,熟成工程として設定した.また,シトロンコンフィは熟成工程を経ることで,単に塩とレモンを混ぜ合わせただけの塩レモンとは異なる香味に変化する事が知られている.香味変化にどの様な成分が影響するかを考察すべく,GC/MS分析を実施した.熟成させたシトロンコンフィの比較対象として,同配合にて熟成工程を経ていない塩レモンを設定した。シトロンコンフィと塩レモンの両品をGC/MSに供し,低分子成分の変化を確認した.

【結果】

これまで廃棄されていたレモン内皮を兵庫県の3社による共創でシトロンコンフィにアップサイクルし,SDGsに貢献することができた.低分子成分の変化においては,Limonene,Citral等の減少傾向,Fenchyl alcohol,α-Terpineol等の増加傾向などが確認でき,熟成工程を経ることでそれらの低分子成分の変化が生じる事が明らかとなった.得られた結果をふまえ,香味変化に対する低分子成分の影響を考察した.

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© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
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