主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 287-
【目的】
メイラード反応は食品の加熱調理のみならず,生体内でも進行し,その末期産物は終末糖化産物(AGEs)とも呼ばれ,蓄積すると慢性糖尿病性合併症や老化などの原因になると考えられている.生活の質の持続,増進を達成するためには,AGEs生成,蓄積を抑制することが重要になる.
植物中のメイラード反応抑制作用は主にポリフェノール類によるものであると推定されている.また,ポリフェノールには抗酸化作用があり,食品抽出液由来のポリフェノールの抗酸化についての研究が進んでいる.しかし,抗糖化と抗酸化の両面からの観点での研究は多くはない.
本研究では,抗糖化作用と抗酸化作用を併せ持つ食品原料の探索及び,異なる抽出方法を用いて両作用を示す物質の特徴の一部を明らかにすることを目的とした.
【方法】
市販のハーブを中心とした23種類の試料について常温水抽出,沸騰水抽出,エタノール抽出を行い,その抽出液を用いて蛍光性AGEs生成抑制率の算出,フォーリンチオカルト法による総ポリフェノール量の定量,DPPH法によるラジカル消去能の測定を行った.
【結果】
蛍光性AGEs生成抑制率、及びラジカル消去能が高く,総ポリフェノール量も多い試料は,ローズマリー,オリーブ葉(常温水,エタノール抽出),ローズヒップ(常温水,沸騰水抽出),マンゴスチン,カモマイルローマン(エタノール抽出),ローズレッドペタルであった.先行研究を調べたところ,ローズレッドペタルの抗糖化作用と抗酸化作用,カモマイルローマン(エタノール抽出)の抗糖化作用について報告がされていないことを確認した.
現在選別された食品素材の抽出液を,XAD-2カラムを用いてメタノールで分画し,紫外吸光スペクトル測定,HPLC分析,AGEs生成抑制率の算出,DPPH法によるラジカル消去能測定を行い,これらの結果を用いて活性を示す物質の探索を行っている.