日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ea] 血糖調節、認知機能
乳酸の経口摂取による認知機能向上作用の検証
*江崎 菜々太田 百香津田 孝範松井 利郎
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キーワード: 乳酸, 認知機能, NE-4C
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p. 276-

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抄録

【目的】演者らは乳酸が運動代替食品因子となり得るのではないかと考え, 運動をしなくても乳酸の経口摂取のみで褐色脂肪細胞化を誘導することを明らかにした1). さらに高強度・インターバル運動での認知機能向上に内因性乳酸の上昇が関わるとの報告がある2). このことは, 乳酸が生体内において重要なシグナル分子として認知機能に対する運動の効果を媒介する因子であることを示唆している. これらの背景から, 乳酸を経口摂取すれば運動しなくても認知機能が向上するのではないかと考え,本研究では,乳酸の経口摂取による機能を認知機能向上作用の点から検証することを目的とした.

【方法】ICRマウス(雄, 8週齢)を用いて, 滅菌水あるいはL-乳酸ナトリウム溶液(100 mM)を28日間自由摂水させた. 飼育終了1週間前に行動科学試験(新規位置認識試験, 受動回避試験)を行い, 認知機能を評価した. 機序解明のため, マウス神経幹細胞NE-4Cをレチノイン酸により神経前駆細胞,さらに神経細胞に分化誘導した. まず, 分化誘導時の培地中乳酸濃度の経時的変化をとらえるため, 培養上清液をUPLC-QqQ/MSに供した. 次に神経前駆細胞へのL-乳酸ナトリウム(30 mM)添加による代謝挙動をRNAseqにより解析した.

【結果】28日間の乳酸の経口摂取により有意に認知機能が向上した. 次にNE-4Cの培養上清液の乳酸濃度を測定したところ, 予想外に細胞外への乳酸分泌が多いことが明らかになった. また神経前駆細胞へ乳酸を添加した時のRNAseq解析では,群間で3200個の発現変動遺伝子が確認され,乳酸が遺伝子発現に多大な影響を与えることが示唆された.現在乳酸による認知機能の向上に寄与する遺伝子について詳細な検討を行っている.

Food Funct. 14, 9725-9733 (2023)

Biol. Med. 243, 1153-1160 (2018)

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