日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
会議情報

[2Ap] 栄養成分(タンパク質,炭水化物,脂質,ビタミン,ミネラル)
グルタチオンとコメアレルゲンタンパク質の構造
*得字 圭彦天間館 貴子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 32-

詳細
抄録

【目的】米品種「ゆきひかり」にはアレルギーの抑制効果があるとの報告がある。そのメカニズムの可能性については、腸内発酵や腸内細菌叢、腸管の透過性などがこれまでに報告されているが、ゆきひかりのアレルギー抑制効果の機構の全容を説明するには至っておらず、原因物質も明らかになっていない。本研究では、ゆきひかりに特徴的な成分を明らかにするため、メタボローム解析およびタンパク質パターンの比較を行ったので報告する。【方法】アレルギー抑制効果が報告されている「ゆきひかり」とその効果が見られない品種の精白米から水溶性物質と脂溶性物質を抽出した。水溶性物質はCE-MS、脂溶性物質はLC-MSによりメタボローム解析を行った。精白米のタンパク質はNative PAGEで比較し、両品種間で異なるタンパク質バンドを切出し、LC-MS/MSによりタンパク質を同定した。同定したタンパク質の配列をもとに抗ペプチド抗体を作成し、ウエスタン解析を行った。【結果】メタボローム解析の結果、ゆきひかりのグルタチオン含有量はアレルギー抑制効果のない品種の1/20程度しかないことが判明した。また、Native PAGEでタンパク質パターンを比較したところ、ゆきひかりには約350kDaのバンドが見られ、グルタチオンを加えると減少した。このバンドをLC-MS/MS解析したところ、既知のアレルゲンタンパク質を含むことがわかった。この中にはシステイン残基を多く含むα-アミラーゼ/トリプシンインヒビターファミリーのタンパク質が複数見られ、グルタチオンがシステイン間のジスルフィド結合を調節している可能性が考えられた。構成タンパク質の抗体を用いたウエスタン解析を行った結果、複数の構成タンパク質に対する抗体で350kDaのバンドを検出したことから、これらが複合体を形成していると考えられた。

著者関連情報
© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top