埋立地の植栽林において絶滅危惧種のキンランの野外播種試験を行い,3 年間にわたって発芽・成長を観察した。その結果,播種1 年後には発芽率が低かったが,2 年後,さらに3 年後に発芽率が増加した。本種の種子は発芽しない状態で,地中で3 年間は生存し,シードバンクを形成することが示唆された。また深さによる発芽傾向の違いは,播種1 年後にははっきりとみられなかったが,2 年後と3 年後には,浅い場所での発芽率が高い傾向がみられた。以上のことから,キンランの保全に際して野外播種試験を活用する場合,1 年程度の短期間ではなく,少なくとも2 年間の評価が必要で,3 年間でより確かな評価が可能となると考えられる。